元零席の彼女とゼロの彼【名探偵コナン】【食戟のソーマ】

八皿目 ページ9

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『Aと？ないよ？Aが一方的に透さんを見かけた
だけなの！』




僕が話し掛けた途端冷たい声を甘くし、その時のことを思い出したのか、ゆるゆるとしていた笑みを更に微笑ませて大変可愛らしくなっている。



横にいた園子さんがうわっ、眩しっと目を細めていた。



…なんでそんな感動シーンで僕は彼女を見つけられなかったんだ。くそ、視線には敏感なはずなのに。



そう考えている間も手は動かしていたので、サンドウィッチとカフェモカが完成した。




『わぁ！美味しそう〜！』



「Aの料理には遠く及ばないですけど、一生懸命作ったので良かったら。」



『透さんがAの為に作ってくれただけでも嬉しいから
いいよぉ。』




あ、遠く及ばないのは否定しないんだな。事実だけど。



プライドが高いことは自負しているが、そんな自尊心も
彼女の料理の前じゃいとも容易く崩れた。


それだけ美味しかったんだ。




『！思ったより美味しい…』



「それは良かった。ちょっと不安だったんです。」



『美味しいよ！透さんって料理上手なんだねぇ。』




思ったより、が付いてるが彼女に美味しいと思われたの
なら重畳だ。



大人気ないが、ちょっとした意趣返しにAに質問した。




「隠し味に何が入ってるか分かりますか？」



『？味噌でしょ？』



「え」



『作り方と材料はぁ…パン…これは食パンかな、これにマヨネーズに味噌を混ぜたソースを塗ってるよね。
食パンは暖かいけど普通のだったらベチャッとなっちゃうからわざと固いのを使って蒸し器で蒸したんだぁ。賞味期限が近いものかな。レタスも50度くらいの温度で茹でたからパリッとして食感良くなってるね。
ハムがあんまりくどくないからオリーブオイル塗ったんだね。おかげで油分の少ない安いハムも上品に食べられる。
凄い！喫茶店でここまで拘ってる人なんてあんまりいないよ？透さんって仕事熱心なんだねぇ〜！』




さも当然のように笑顔で言い当てたAにゾワリ、
と背筋に冷たいものが流れた。






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