一皿目 ページ2
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この日のポアロは昼頃では珍しいほど席が空いていた。
普段ならこの時間帯になると満席になるのだが、近くで
新しい店が出来たことで客はそちらに流れているようだ。
店内にいるのはコーヒーを飲みに来たコナン、仕事の昼休憩でやって来た安室の同期である萩原、松田、伊達、諸伏である。
店員は榎本と安室がいるが、客が知り合いしか居ないため雑談を楽しんでいた。
そんな中ドアのベルがお客さんを知らせるためにチリン、と鳴った。
出迎えようとした安室はその人を見て一瞬見惚れ思わず息を飲んだ。
やって来たのは高校生から大学生くらいの若い女性。安室がバイトをし始めてからはその年層の客は珍しくはない。
しかし、その女性の容姿に店内に居た人間は度肝を抜かれた。
透き通るような白い珠の肌、サラサラと流れる触り心地の良さそうな亜麻色の髪、ばさりとした長い睫毛に縁取られたファイアオパールのように輝く大きな橙色の瞳、艶々とした桜色の唇。
華奢な体躯にすらりとした人形のような手足。
今までお目にかかったことの無いような絶世の美少女だったのだ。
「…っ、いらっしゃいませ!お席はカウンターとテーブル席、どちらがよろしいでしょうか?」
はっ、として慌てて声を掛けた。
これだけの美女を見たからといって見惚れて動けなくなるなんて、これでよく公安が務まるな。
安室は心の内で己の失態を叱咤する。
それにしても、本当に天使のような顔立ちだ。
白い花柄のワンピースも相まって天から舞い降りた
天使のような儚げな印象を受ける。
ベルモットも女優だから特に整っているが、この子は
そんなもんじゃないな。
声を掛けると、彼女はもじ、と恥ずかしそうに
たじろいだ。
後ろ手に何か持っているようだが、仕草が可愛くてそっちに意識が向かずにっこり微笑み、顔を失礼にならない程度にガン見してしまう。
おい、萩原興奮するな。警察が未成年(仮)相手に可愛い可愛いはしゃぐな。
『…あのっ!お兄さん!』
少し下を見てもじもじしていた彼女が意を決したように
こちらと目を合わせた。
声もとんでもなく可愛いな。駄目だ、意識を持ってかれる。
お兄さん、とは僕の事だろうか。
返事をすれば、ばっ、と後ろ手に持っていた何かを差し出される。それはタッパーだった。
「…えっ?」
『あのあの、これ、お兄さんの為に作ったんです!
一口だけでもいいから食べてくれませんか…っ?』
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瑠璃(プロフ) - にこさん» すみません、どこの話数でしょうか? (2022年3月27日 23時) (レス) id: 880d6fe888 (このIDを非表示/違反報告)
にこ - 何故、安室さんの本名呼んでいるんだ? (2022年3月27日 18時) (レス) @page12 id: 98deb38477 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - 皇さん» ご感想ありがとうごさいます!これからも更新していきますので楽しんで読んでもらえたなら幸いです。 (2022年2月24日 20時) (レス) id: 880d6fe888 (このIDを非表示/違反報告)
皇(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!これからも更新楽しみにしています! (2022年2月24日 16時) (レス) @page38 id: 5e661ff29a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃 | 作成日時:2022年2月19日 5時