十八 ページ20
振り返ると、白い髪の毛の私よりも少し年下に見える男の子が立っていた。その後ろには大きな岩に座る髪の長い同じ風貌の女の人が。
「ど、どうしたの、?」
この異様な外見、きっと鬼だ。
怒らせないよう、優しく話す。
?「僕が君をここまで連れてきたんだ。まあ正確には母さんだけど。」
「?」
何が言いたいの…
?「…何が言いたいのか分からない、って顔してるね。
…僕は累って言うんだ。君は?」
「な、七々扇A…」
「ふーん。A…
あっちの方に行って2人で話そう。母さん、早く片付けてよね。でないと父さんに言い付けるから。」
そう言った累という鬼からはすごい威圧感を感じた。
というか、母さんとか父さんとか、鬼にもそういうのがあるのだろうか。
母鬼「わ、分かったわ…!!必ず上手くやるから…!!」
累「…さあ、A行こう。」
そう言って累は私の手を掴んで森の奥へと連れ込んだ。
「あ、あの、どこに…」
累「僕はさ、本物の絆が欲しいんだ。」
そう言うと累は立ち止まってこちらに振り返る。
「絆…?」
累「そう、絆。A、君のその容姿、その包容力のある性格、声色。すべて僕の理想とする姉そのものだ。」
何を言っているのかわからない。
累「僕はさぁ、君に僕の姉になって欲しいんだよ。その、人の心を包み込むような雰囲気。それこそ姉のあるべき姿なんだよ。わかる?」
「…でも私は人だから、貴方とは暮らせない。」
シャッ
「いっ…!!」
累「累って呼んでよ。」
ポタ…ポタ…
私の頬から血が滴り落ちる。
この子がやったの…?
「る、累…私は累が鬼として人を喰らう以上、累を斬らなければならないの。」
決意を込めてそう言う。
累「僕を、斬る…?ダメだよそんなこと言っちゃ。とても姉から弟に向けて発せられる言葉とは思えない。…痛めつけられたいの?」
「そういうことじゃ…」
累「まあいいよ。鬼になろう、姉さん。」
?「累…?」
また新たな白髪の鬼が出てきた。
累「何?」
?「る、累の姉さんは私でしょ…?」
累「姉さん、今はそれどころじゃないんだ、あっちにいって…!?」
累が姉鬼?と話してる隙を見て私は走り出した。
その後、姉鬼の悲鳴が聞こえた。
「っ…」
鬼とはいえ、人情は湧いてしまうものだ。
私は先程の場所へと踵を返した。
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絵宙(えそら) - 更新頑張ってください!いつまでも待ってますからね! (2020年4月3日 15時) (レス) id: 63faa5bcfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らいおん | 作成日時:2019年12月27日 13時