【QKBL】苦くてあまい非日常は___

ぴゅあで危険なラブゲーム3 ページ6

箱を手に取り、さっきより注意深く箱に印字されている文字を追う。───ウイスキーボンボン、アルコール度数4%と記載されていた。
うん、これは。

「こうちゃん、酔っ払ったね」
全て合点がいき、本人に問いかけてみる。
「えーー、ぜんぜん、酔ってなんかないですよ？」
こてん、と小首をかしげながら否定する。
いやそれ酔ってる人しか言わない言葉だからね、と心の中でツッコミを入れる。水でも飲まそうかと立ち上がろうとした瞬間、ぐいと服の裾を引っ張られソファに戻される。
「ちょ、っと。こうちゃん」
ふふ、と楽しそうに笑い、あろうことか山本さーんと言いながら抱きついてくる。え、え、なにこれ。
「ねぇ、やまもとさん」
「なに、こうちゃ───」



ちゅう。



「........................え？」
可愛らしいリップ音とともに、頬にやわらかい感触。
「は？、え？ちょ、え？？こうちゃん？」
唐突の出来事に脳みそはキャパオーバー。そんなのお構い無しに目の前の酔っぱらいは更なる爆弾を投下する。
「あははー...やまもとさんに、ちゅーしちゃった」なんてとろけきった顔で言い放ったのだ。
自分の中でぷちり、と何かが弾ける。
抱きついているこうちゃんを引き剥がし、肩を押してその身体をソファへと沈める。
「あのさ、こうちゃん」
「...？やまもと、さん...？」
「それは悪ふざけ？それとも...誘ってる？」
思いのほか普段より幾分も低い声を発していて自分でも驚く。この酔っぱらいは男を煽る事の意味を分かっているのか。無自覚にもほどがある。
「誰にでもこういう事やってるの？」
そう問えばきょとりとしてなにも分かりませんと言わんばかりの表情を浮かべる。
「？なに、言って...こういうこと、って？」
「こんな事続けてたらいつか痛い目に遭うよ」
───それとも今、痛い目に遭ってみる？
「っやまもと、さ...っ」


ガチャリ。


「山本〜やっぱり記事さぁ、あの話題も入れた方が............」

「...........................」


はっ、と我に返り、一気に現実に引き戻される。

...あれ、今僕はなにを？なんでこうちゃんが下にいるの？なんでこうちゃん押し倒してるみたいになってるの？


「...あ、いや、なんでもないわ」


バタン。



「いやこっちもなんでもありませんからぁぁあ！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！」


オフィス中に、今まで出したことの無い大声が響き渡った。

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