miracle of the chocolate 2 ページ3
朝。目が覚めてスマホで時間を確認すると、アラームが鳴るより早い時刻が表示されていたのだが、いつもなら尾を引く眠気は一切なかった。
朝食を摂り、いつもより丁寧に身支度を整える。
本日は午前中から動画撮影の予定が入っている。一日の仕事はこの動画撮影のみ。愛情込めて作ったこのスイーツを渡す相手も撮影メンバーに入っていた。それを好機とし、話したい事があるからオフィスに残って欲しいと事前に伝えておいている。
リボンをかけた箱を鞄に入れようと手にした時、やっぱり手作りなんて、それも同じ男からなんて重過ぎるか?と迷いが生じてしまった。
いや、と頭を振る。
今日一歩踏み出すのだと決めていたじゃないか。ここで逃げたら、きっと後悔するだろう。
決意を固め、玄関の扉を開いた。
─────────
動画撮影は何事も無く順調に進み、無事終了。解散となり、徐々にメンバーは帰っていく。ついには二人きりとなった。なってしまった。自分が残ってもらうようお願いしたのだからそれは当然なのだが、いざとなると緊張し始め、鼓動が少し早まる。
どうやって切り出そうかと考えた時、
───ごめんこうちゃん、ちょっとトイレ行ってくる。
と相手が席を外した。
ありがたい。心の準備をするチャンスだ。どうぞどうぞと快く送り出した。
改めて覚悟を決め、鞄に入っている愛情込めて作ったそれを取り出す。緊張は増していくばかりだ。
きっと告白をして成功する確率なんてゼロに近いだろう。気持ち悪いと距離を置かれる可能性だって十分にある。それでも、ほんの僅かな可能性に賭けたかった。万が一でも億が一でも自分を見てくれる可能性があるのなら、そこに挑んでみたいと思ったのだ。簡単に諦められるほどの想いの大きさではなかった。
───だから、どうか。
想いの全てが詰まった箱に、キスを落とす。
「どうか、奇跡が起きますように」
願いを込めた一つのキスが、箱の中身の最後の隠し味。
どうやら戻ってきたらしい。
近づく足音、開いた扉。心臓が張り裂けそうなほど鼓動は早鐘を打っている。緊張でどうにかなりそうだ。それでも、相手の目を真っ直ぐに見つめる。
さあ、一世一代の大勝負。
俺、あなたに伝えたい事があるんです。
「っあの、おれ、あなたの事が───
───好きです」
end.
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あゐ。(プロフ) - 急だし、過去作なのにすみません…歴史さんは国語さんのこと川上さんって呼んでませんかね…?細かいところすみません… (2021年2月17日 22時) (レス) id: cd0834ca7f (このIDを非表示/違反報告)
Azuki - (すいません、読む前にコメントを書いてしまって…) はい!募集する機会ができれば、リクエストさせて頂きたいと思います!! (2020年11月16日 23時) (レス) id: 26442b7ecd (このIDを非表示/違反報告)
ばにら(プロフ) - Azukiさん» 閲覧有難うございました!好きと言って頂けて何よりでございます…!リクエストは、上にも記載しているのですが一旦締め切らせて頂いております。また募集する機会がございましたら、その際はどうぞよろしくお願い致します! (2020年11月16日 17時) (レス) id: bbf9ee4ff7 (このIDを非表示/違反報告)
十羽(プロフ) - ばにらさん» 返信有難うございます。可能な範囲で、宜しくお願い致します。楽しみに待たせて頂きます。(返信は不要です) (2020年11月15日 1時) (レス) id: b06b252991 (このIDを非表示/違反報告)
Azuki - コメント遅れてすいません!リク、ありがとうございました。裏でデートプラン考えてるizwさん最高ですし、素直なko-chan最高だし…結局言い合っちゃうのも2人らしくて……あの、好きでs(( もしもしですが、よければまたリクエストしちゃってもいいですか? (2020年11月14日 21時) (レス) id: ef4f89b31d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ばにら | 作成日時:2020年2月14日 3時