抱き合わないと出られない部屋 ページ3
「これってさ、噂の出られない部屋ってやつ？」
エースが私に耳打ちする。
「うん…多分｡はぁーまじかー｡」
比較的冷静な私とエースと対照的に、デュースは顔を赤くして焦っている。
「は！？！？抱き合う…だと？エースとだけならまだしも、ユウとも抱き合わないといけないのか？」
「何その言い方…ちょっと傷つくんですけどー。」
私の発言に、デュースは顔を横にブンブンと振る。
「ち、違う！だってユウはその…女の子…だし。」
顔を真っ赤にしながら下を向くデュース。
は？可愛すぎだろ｡キレそう。
すると、エースがガハハと笑う。
「お前、そんなこと気にすんの？彼女できたことねーだろ！」
「うるさい！そう言うエースこそどうなんだ！」
「ざんねーん、俺は彼女いたことありま〜す！」
いつも通り2人の喧嘩が始まる。
てかまじでどうしよう｡
そこで私はひらめいた。
「そういえばさ、ここって魔法使えたりするの？」
2人の喧嘩がピタッとやむ。
「あー…さっき試してみたけど無理っぽい。なんか制御されてるんだよね〜｡」
エースが困ったように言う。
そうか…なら仕方ないかな。
「エース、デュース｡やろう！」
私は両手をばっと広げる。
2人はポカンとなんとも情けない顔をしていた。
「うーんそーね、やっぱそれしか道はないか。」
エースが首を掻き私に腕を回す。
こうしてみると体格差があることがわかる。
エースの様子にあわあわとデュースが言う。
「お、おいエース！離れろ！」
そんなデュースにエースが言う。
「デュースはそこで指咥えて待ってたら？人数指定されてないし、俺とユウが抱き合うだけでも出られるんじゃね？ねーユウ！」
「え…う、うん｡」
エースは私にグイッと顔を近づける。
これは近すぎないか？もうキッスしそうじゃん！
「は⁉︎ふざけるな！ぼ、僕もやるからな！」
そう言ってデュースは私たちにズンズンと近づく。
「ユウ、すまない。ちょっとエース詰めろ。」
今の体制はと言うと、エーデュースが肩を組み、私が2人の片手に支えられてるという状況だ。
あー、イケメンのにおひ…
ついでに胸筋も堪能していると、気づいたら私は教室の椅子に座って授業を受けてた。
やっぱり夢？
そう思って隣を見てみる。
エース、デュースのどっちとも目が合った。
2人とも怪訝そうな顔をしている。
何もわからぬまま、授業は終わってしまった。
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作者名：ありおりはべり。 | 作成日時：2023年9月16日 20時
