記憶のない怪異。【源光】 (ページ11)

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11話ページ11

夜。

学園に生徒はいなくなり力のない怪異がチラホラと出歩く。

「寧々ちゃん…か」

今日お友達になった、八尋寧々ちゃん。

可愛くて、元気で、そして

寿命の少ない女の子。

あれ？でも、光くんも私が見えるのに"死期が見えなかった"

払い屋の家の子かな

そうだと嬉しいな。

いつの間にか光くんの存在が大きくなっていることに気付かないまま月を見ていた。

「A。」

聞き慣れない声に名前を呼ばれる。

昔のお洋服を着ていて頬には封がある。

「あなたは…だれ？」

私の言葉には答えずに怪異の男の子は私の事をまじまじ見る。

すると急に頬を触ったり頭を撫でたりとスキンシップと思える行動を取ってきた。

「えっと…」

そんな彼の行動を不思議に思っているとやっと口を開く。

「Aは面白いこと見つけた？」

その言葉で思い出すのは光くんの姿。

彼が何でそんなことを聞くのかは分からないけど

記憶がない私の真っ暗な世界に色が生まれたのは彼らのおかげ。

「うん。ニンゲンは面白い子達でいっぱいだよ」

その言葉を聞いて笑顔になる怪異の男の子。

「俺はつかさ。

記憶が無くなる前の君のトモダチだよ」

「トモダチ、」