ヒロイン案内人【NINO】 (ページ2)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:10,664 hit

2 ページ2

…と、生徒手帳を拾ったはいいけれど、

どうしたものか。

とりあえず、手の中の生徒手帳を見つめる。

黒い手帳には、山風高等学校と金色でプリントされている。

大きなこの学校のマークの真ん中に親指をのせて、その下に人差し指をいれて、

生徒手帳をめくるとそこには、

「…なんじゃ、こりゃ。」

子犬みたいなかわいい男子生徒が。

生徒手帳が教えてくれたことは3つ。

ひとつめは、子犬くんの名前が、二宮和也だということ。

ふたつめは、私とおなじ2年生だということ。

みっつめは、

…彼が私のいっちばん苦手なタイプだということ。

理由は、子犬だから。

私とちょうど正反対の人間である。

滅多なことがなければ人が少ない学校でいちばんマシなこの図書室を見回す。

けれど、当然この手帳を二宮くんとやらに届けてくれる友達なんていなくて、

深いため息をついた。

この手帳を二宮くん、に届けなければならない。

そのときだった。

図書室に眩しすぎて倒れてしまいそうな黄色い声が響いたのは。

「！？」

もう一度言う。この図書室、滅多なことがなければ静かである。

廊下から聞こえるその声に、ドアの方を振り向くと、ちょうど図書室に入ってきたのは二宮くんだった。