【今日から俺は！！】軍神かぐや (ページ6)

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Sakura,Kaguya ページ6

あれ以来、
Aはよく俺らのたまり場にふらっと現れるようになった。

本当にふらっと、何の前触れもなくやって来て

「…またケンカか」

不機嫌そうな顔して手当てしてくれる日もあれば

「あ。こら、煙草は身体によくないぞ」

「Aさん、苦手なんすか？」

「その見た目で？」

「見た目は関係ないだろう。匂いがダメなんだ。
それ以前にあんたたち未成年だろう？禁煙しな、禁煙」

鼻をつまみながら煙草を注意したり

「またAさんの勝ちかよ」

「強ぇ…」

「やったー♡君、ミルクティー奢りな♡」

下っ端の野郎どもを集めてトランプに興じている日もあり

「相良、こいつどうにかしろよ」

「どうにかって、起こせるわけねぇだろ」

置いてある二人掛けソファで
すやすやと眠っている日もある。

何だ？この生き物は。
寝顔までかわいいな。

「…顔に全部出てんぞ。にやにやしやがって」

「…そりゃ、こんなかわいい寝顔見せつけられたら自然と頬が緩むもんだろ」

「狂犬っていうより子犬だな」

そのまたある日は

「ここの桜は美しいな。
校舎はお世辞にも綺麗とは言えないが」

開久の敷地内に咲いている桜を
一人で何十分も眺めていたことも。

「桜、好きなのか？」

「ああ、花の中で一番。
どこで咲いていても散り際まで美しいから」

強い春風が花びらを散らし
Aの髪を巻き上げる。

花の香りに混じる、
微かなシャンプーの匂い。

桜を擬人化したらこいつになるかもしれねぇ、

そんなどうでもいいことをぼんやり思いながら
横顔を見つめていると

「あ…ふふっ」

Aの手が
俺の耳元へすっと伸びてきた。

「花びらがついてるぞ。春風にやられたな」

耳に触れるくすぐったい感触。
風になびく黒髪。

無邪気で、色っぽい笑顔。

気づくと俺は
Aの手首を掴み
その細い身体を抱きしめていた。