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Colors ページ18

約束の土曜日。



待ち合わせの時刻より10分早く
校門前に着いてしまった。




この俺が10分前行動なんて。
真面目かよ。




緊張と嬉しさがごちゃ混ぜになった、
そわそわと落ち着かない気持ちを持て余したまま
待ち合わせの場所へ行くと

葉桜状態の桜を見上げ
Aが一人で立っていた。





降り注ぐ蝉時雨の下、





浴衣姿で。





真夏の夕日よりも濃い赤に
白い線で麻の葉模様が大きく入り
夜空みてぇな深い青の帯を締め


長い黒髪は簪でまとめられ
白い首筋が無防備だ。




嘘だろ。

それは反則だろ。


これは夢か?幻か?




その場に立ち尽くしたきり
何も言えない俺に気づいたらしい。



ゆっくりと合う目が
俺を見つめて柔らかく微笑む。




「早かったな。まだぎりぎり17時前だぞ」

「…どうしたんだよ、その格好」


「これか?
知り合いに頼んで着付けを教わったんだ。似合うか?」




似合うも何も、



「似合いすぎてて誰にも見せたくねぇレベルだ」




言い終えるのも我慢できず
Aの腕を引き、すっぽりと抱きしめ
その白い首筋に顔をうずめる。




「…暑苦しい」

「そんな格好してるお前が悪い。ちょっと我慢しろ」





首筋に唇が当たってるせいか
俺のシャツをきゅっと掴む手。





かわいすぎんだろ。





「くすぐってぇのか?」

「やかましい。今日の目的はそれじゃないんだ」





俺の胸から無理矢理べりっとはがれて
Aは言った。






「夏祭りに繰り出すぞ、相良」

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設定タグ:今日から俺は , 相良猛 , 片桐智司   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:櫻子 | 作成日時:2020年6月21日 23時

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