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ex.Fujiko ページ1

「待てこらー!止まれー!」


走っていた。

ひたすら走っていた。


ガンくれてきたやつらをシメてる真っ最中、
ポリに目を付けられてしまったから。


「くそ、厄介な野郎が…おい、行くぞお前ら」


追ってくる警官から逃れるために
全員バラバラに分かれて走っていた。



あのとき、あいつにぶつかったのは
偶然か、必然か。


もう追っては来られないだろうと
走る速度を緩めたとき



「うぐっ!」
「ふごっ!痛ったたたた」


出会い頭に
思いっきり誰かにぶつかった。


マンガでしか見たことねぇよ、
こんなぶつかり方。

尻もちをつき、痛む頭をさすっていると


「すまない!ぼーっとしていた!
ケガはないか!?少年」

声をかけてきた一人の女。



腰まで届きそうな長い黒髪、
ぱつんと切り揃えられた前髪の下、
切れ長の瞳が心配そうに俺を覗き込んでいる。


黒いスキニーに黒のライダース、
つやつやとした黒髪は姫カット、
真っ赤な唇と
同じくらい赤いマニキュアの指先。


首元にはきらりと控えめに輝く
マリア像モチーフのシルバーネックレス。


実写版峰不二子って感じだな、この女。



呆気にとられていると
片膝をつき、白くて細い手を差し出された。

どこの国の王子様だよ。


「大丈夫か?立てるか?」


呆けたままその手を握り立ち上がると


「どこ行ったー!?」


さっきの警官の声が聞こえた。

割と近ぇじゃねぇか。



「くそ。追いつかれた」
「…追われているのか?」



小声でつぶやいたのが
この女の耳にも届いたらしい。



「こっちだ、私に考えがある。走れるか?」



短く言って、
女は俺の手をしっかりと握ったまま走り出した。



こいつ、意外と走るのが速ぇ。


狭い通路を走り抜き、辿り着いたのは
1台の黒いバイクの前。



「ほれ、乗りな。あの警官を撒くぞ」



ヘルメットを投げて寄越し
バイクに跨ってエンジンをかけながら言う。


ますます峰不二子じゃねぇかよ。

「何ぐずぐずしてるんだ、少年。早く!」



女に助けられるのは癪だが
このまま大人しく警官に捕まるわけにもいかねぇ。


仕方なく指示に従うと


「しっかり掴まっときな」

そう言ってバイクを発進させた。

・→



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設定タグ:今日から俺は , 相良猛 , 片桐智司   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:櫻子 | 作成日時:2020年6月21日 23時

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