優しい笑み ページ45
「これでわかったかな?」
『はい先生。ありがとうございました』
「今日は5時から大雨予報だから早く帰りなさい」
『げ』
外を見れば、分厚い雲が広がっていて今にも振り始めようとしている。
今日は傘は持ってきていないし、学校から家まで走って帰ってももし雨が振ったら下着まで濡れる可能性は大アリだ
職員室を出て、玄関へ向かう
その途中、裏庭の方で猫の鳴き声が耳に入り窓から覗くと小さな子猫が木のしたで座っているのが目に入った。
そしてそのそばには道着姿の沖田がいる。
何をしているんだろうと見ていると、今まで見せたことのないような優しい笑みを浮かべながら餌をあげていた
沖「お前、もうここ来んなよ」
そう言いながらも優しく小さな頭を撫でていて、猫も気持ち良さそうに甘えていた
沖田は人前でこういうことはしない。こういう優しさを見せることは少ない。
性格的な問題なかわからないけど、こんなに穏やかな沖田を私は見たことがない。
「おい総悟どこ行った!サボってねえで早くこい」
離れたところから土方さんの怒号が聞こえる。
小さくため息をついた沖田は猫の頭を撫でて「また明日な」と残し離れて行った
その優しさをもっと堂々と出せばいいのにな
そんなことを考えながら私は玄関で靴を履き替え、そのまま猫のいた裏庭へと向かった
小さな猫はまだ木の下にいて、どこか寂しそうに空を見上げていた。
次第に雨粒が落ち始め、一気に私と猫を濡らす
急いでカバンの中からタオルを出して、子猫を包み私も一緒に木の下に入った
「ニャー」
『ごめんね、私餌は持ってないんだ』
タオルに包んで、さらにセーラー服の中に猫を入れて寒がらないように温める
雨が弱くなるのを待ってみるが視界が真っ白になるくらい雨が降り、学校の校舎に入ることすら難しそうだ。
気のせいかだんだんと頭も重くなってきて、寒気が止まらなくなってくる。
「ミャオ」
胸の中にいる猫がどこか不安そうに私を下から見つめていた
『ごめんね。あとちょっと、だ、から・・・』
視界がフラフラし、足に力が入らず、私は思いっきり地面に座り込む
ああ、スカートビッチャビチャ。
このまま寝たら、やばいのに
目が、開かない・・・最悪だ
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愛美(プロフ) - カルピン☆☆さん» ありがとうございます!!更新頑張ります (2018年8月6日 14時) (レス) id: a19c0604ca (このIDを非表示/違反報告)
カルピン☆☆(プロフ) - この作品好きです!!更新楽しみにしてます! (2018年7月25日 14時) (レス) id: cd957b2a21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:愛美 | 作成日時:2018年7月18日 22時