3年A組ー傷だらけの悪魔ー (ページ5)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:37,006 hit

#01 - 03 ページ5

_____
___

ガンッ！

『･･･？』

階段を登りきって教室の後ろのドアを開けようとしたがそれは何かに引っかかって開くことはなかった。鍵でもかかってるのかな？

『あ、』

ドアのガラス部分から教室を除けば数人の生徒が立っていて、私に向かって首を振る人がいたり手を振る人がいたり。中には教室の前のドアを指差す人もいた。前のドアから入れってこと？

「A！」

首を傾げていれば前のドアから廊下に一人の男子生徒が出て来て私の元へ歩いてきた。

『海斗、おはよう。』

彼の名前は里見海斗。

爽やか系のイケメンで女子にモテて人気のクラスメイトであり、私の幼なじみだ。

「おはよ。このドア、開かないんだって。」

『え、鍵は？』

「職員室になかった。多分先生が持ってる。」

『そっか。後ろのドア開け忘れたのかな？』

「多分な。先生どんくさいし。」

このドアは以前男子がふざけて壊したから新しいものに変えたばかり。最新の新しい鍵らしく、専用の鍵がないと外からも中からも開けられないらしい。

盗難防止に、と先生は言っていたがたかが高校のドアそこまでする必要があるのか。疑問に思うがクラスメイトは誰も気にしていないようだった。

『･･･、』

「ほら、もうチャイム鳴るよ。教室入ろ？」

『あ･･･、うん！そうだね。』

誰も気にしていないのなら口にしない。

悪目立ちはしたくないから。私はこの環境に浮かずに溶け込みたい。平凡な生活を送りたい。

特別なんていらない。私にはそんな価値はないし手に入らないものだとわかっているから。

つまらない人生でいい。私は今に満足している。

私は彼女みたいに強くはないから。

「おはよ、A。」

「おはよう！もう、A遅いーっ！」

『おはよう。』

「また夜ふかしでもしてたんでしょー？」

『あはは、まあそんなとこ･･･、』

教室に入れば交わされる友達との挨拶。

それはどこにでもある平凡な言葉達。

自分の席に座れば直ぐにクラスで一番仲良くしているであろう友達が前の席に座った。

彼女は諏訪唯月。凄く可愛くて、モデル業をしている私の大切な友達だ。