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( A side )
お腹の傷に薬塗らなきゃってさっき着たばかりのワイシャツを脱ぐ。
もう、ここに来て1ヶ月近くになる。
全てを売って、ここに来た私を先生は受け入れてくれた。
その時だった。
鍵をかけたはずのドアが音を立てて開いて、振り返るとそこには──────
『えっ?……隼人、』
明らかに怒ってる表情の隼人は私の前まで来て立ち止まる。
甲斐「……なぁ、俺にまだ言ってないこと、あんだろ?」
『……え?』
言ってないこと、ありすぎて分かんない…んだけどなぁって目線を外せば顎を掴んで向き合わされる。
甲斐「ここに住んでること、俺は知らねぇぞ」
『ぶっきーか、』
甲斐「なんで黙ってたんだよ」
『ごめん』
甲斐「……って、お前責めても何もなんねぇよな」
ガシガシって頭をかいて私の肩に頭を乗せた隼人。
お風呂上がりのいい匂いがして、少し懐かしい気分に陥る。
『話してないこと、話して、』
甲斐「……ん?」
顔を上げて目を合わせて言う隼人に相変わらず胸が高鳴る。好き、だなぁ。
『嫌われたくないっ、』
ポロリと零れた涙が床に落ちる。
そしたら、涙と一緒に自分の気持ちも零れた。
『昨日の行動に、後悔はずっと無かった……だけど、一つだけ、たった一つだけ、苦しくて』
ポロポロって頬を伝って滴り落ちる涙が隼人の手によって拭われる。
もう二度と、この優しい手が私に触れられると思わなかった。
それがどんだけ嬉しいか。
『隼人に、嫌われたくないって、…心のどこかで思ってた…』
離れていきそうな隼人に、思わず抱きついてしがみつく。
『隼人にだけはっ、嫌われたくなかったのっ!!!』
甲斐「……馬鹿だなぁ、Aは」
震えながら言う私を、優しく抱き締め返してくれたのは紛れもない隼人だった。
『っ、』
甲斐「嫌いになんてなれるわけねぇだろ」
ギュッて、包み込むように私の頭を抱えて、腰を引き寄せて、前のように、何も変わらず優しく抱き締めてくれた。
甲斐「あんな時に愛してるだなんて言われたら、忘れたくても、嫌いになりたくてもなれねぇだろ」
絞り出すような、苦しそうな声が耳元で囁かれ、吐息と共に耳を震わす。
じわりと肩を濡れてきて、隼人の手が震える。
甲斐「なぁ、なんで愛してるなんて言ったんだよ」
『っう、』
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?? ラベン(プロフ) - 世恋さん» ほんとだ!!!ありがとうございます!笑 (2019年2月22日 13時) (レス) id: eb4c247be4 (このIDを非表示/違反報告)
世恋(プロフ) - 遠くが見えないのは近視じゃないですか?違ったらすみません!更新頑張ってください! (2019年2月22日 12時) (レス) id: 2be61dc08d (このIDを非表示/違反報告)
海理 - お誕生日おめでとうございます (2019年2月20日 14時) (レス) id: f453f15264 (このIDを非表示/違反報告)
TWICE - お誕生日おめでとうございます!これから頑張ってください! (2019年2月19日 22時) (レス) id: 08f374a58a (このIDを非表示/違反報告)
れあてぃん。(プロフ) - お誕生日おめでとうございます!!うちのお兄ちゃんと同じ誕生日だったなんて笑 (2019年2月19日 19時) (レス) id: 2e97a00b85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラベン | 作成日時:2019年2月11日 20時