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「あれ、Aお疲れ〜。いいところじゃん、次加賀美くんだよ!」
「ん、お疲れ。あんたら加賀美のこと好きだねぇ。」
「だって、イケメンじゃん!あんなイケメンな後輩そうそういないよ!?」
だから同じ委員会なのもあんたじゃなかったら殺されてたからね!?と私と同じくポニーテールを揺らす友人から熱弁されてはいはいと返す。
先ほどまで熱くて仕方がなかった頬もなんとかいつも通りになってくれたことに安堵しつつ、友人達に引っ張られて1番前の席に座る。
加賀美がお目当ての友人はアキレス腱を伸ばしている加賀美を見つけキャイキャイと騒いでいる。うるさいよ。
「あっ、始まった!え、加賀美くん速くない!!??はっっや!!!」
「わーかった、わかったから…!加賀美が速いのはわかったからちょっと音量下げよ?」
パン、とピストルの音が鼓膜を揺らすと同時に聞こえてくる歓声と女子の黄色い声。十中八九加賀美に寄せられているのだろう。そこらかしこから『加賀美くーん!!!』という声が聞こえてきた。
「…え、ねぇねぇA。加賀美くんこっちに走ってきてない?」
「え?…本当だ。あんた呼ばれてるよ、よかったじゃん。」
「なんも根拠のないこと言わないでくれない?あと加賀美くんと話すとか緊張しすぎてできない。」
まぁ、わたしたちのところには来ないよね〜。と笑っていた私達だが、実際加賀美は私たちの方へと走ってきていて。
え、ほんとじゃん!!と騒ぐ友人を宥めていると、よく通る声で先輩、と呼ばれる。
目の前に影ができたと思ったそれは、間違いなく加賀美のもので。なにも言えなくなっていると、少しだけ息を切らした彼が来てください、と手を伸ばした。
一瞬なにが起こったかわからなかったけれど、友人からのおら行ってこい!という言葉と背中を押される感触で彼の方へとほぼ不可抗力で立ち上がる。
「〜〜〜!もう、怖い子から呼び出されたりしたらあんたのせいだからね!」
さっきやっと引いたはずの熱がまたぶり返したような気がしつつ、やけくそで彼の手を取る。彼は私の手を優しく握り返したかと思うと、ふっと笑ってはい、なんて可愛くない返事をした。
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ちょこれーと(プロフ) - とりあえず新作がこんな早く見られると思ってなくて、嬉しいです!しかもkgmだって!?作者様のペースで頑張ってください!応援してます!! (5月8日 18時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よる | 作成日時:2023年5月7日 23時