『体育祭』 ページ7
わいわいと盛り上がっているグラウンドに、地面を照り付けて陽炎まで見えているこの熱気。
ふぅ、と真面目に仕事をしている後輩にバレぬようにため息をつく。
体育祭当日、なんだかゴタゴタとしていたし委員長として色々と先生に呼び出されて手当ての仕方や当日することの説明をするために色々と頭に詰め込まれすぎて友人から『目ぇ死んでるよ』と言われたことを覚えている。
誰だよ保健委員は楽すぎるって言ってたやつ。委員長は適応外ってか?
今だけは、私を委員長に推薦した友人と先生に対してのため息をついても許してもらおう。
__しかし、それを目の前の後輩が許してくれるわけでもなかったらしい。
「…七瀬先輩、ため息つくの、やめてくれません?」
「…君は委員長の大変さをわかってほしいなぁ。私の功績を見たらきっと君驚いちゃうよ?」
「なんなんですかそれは。」
ふ、と笑っている加賀美を見て腰を上げて、これ、手伝うよと彼の隣に座ってアルコールにガーゼやら脱脂綿やらを浸していく。とりあえず今いる分を終えて包帯や絆創膏たちを取りやすいように並べると、隣から注がれる視線に気づいた。
「…?加賀美、私の顔になんかついてる?」
「…いや、髪型、変えてるんだって。」
「あぁ〜、まぁ、ハチマキするし、下ろしてると暑いしね。」
いつもならおろしているはずの髪の毛がポニーテールになっていることに多少の違和感はありつつも、『いつもと違う』というだけで単純な女子高生である私は少しだけ舞い上がっていて。
カチューシャのようにして結んでいる私たちのクラスのカラーである青色のハチマキを触ると、調子に乗ってしてしまった編み込みが手に当たってなんだかいつもと違うことを実感してまたワクワクとしてしまう。
案外私という存在は、きちんと子どもらしかった。
「それで?ただ単に私の一本結びが珍しかった?」
「…ま、そうですね。」
「物珍しいみたいな顔するんじゃないよ。」
「…いや、それもありますけど。」
単に似合ってるな、って思ったんで。
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ちょこれーと(プロフ) - とりあえず新作がこんな早く見られると思ってなくて、嬉しいです!しかもkgmだって!?作者様のペースで頑張ってください!応援してます!! (5月8日 18時) (レス) id: 3d98585397 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よる | 作成日時:2023年5月7日 23時