【kgm】日記帳【2j3j】 (ページ16)

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花火ページ16

side : kgm

彼女と回る初めての『夏祭り』という催しは、とても楽しいものであった。

氷を削ったものに色々なフレーバーのシロップをかけたかき氷や、コルクを銃に詰め的に当てて景品をもらう『射的』というものだったりと、他にも興味深いものはたくさんあった。

そもそもの話として俺自身がそう言った経験がなかったというのもあるが、どれもこれもが新鮮で、時間が過ぎるのがあっという間に感じられて、正直少しだけ驚いてしまったことも事実である。

「あ、加賀美。そろそろ花火上がるみたいだって！」

ふわりとカールされたポニーテールが揺れて、大人っぽい瞳が俺を捉える。

…目の前の彼女、七瀬Aはとても不思議で、どこか理解し難い人である。

時には自らをひた隠しにするように貼り付けた笑みをしたり、として時には年相応に無邪気に笑ったり。そう言ったことがあってからか、3ヶ月近くともに委員会の仲間としているのに掴みどころがない人であった。

「んね、私花火見る良いスポット知ってんの。そこ行かない？」

「そんなところあるんですか？」

「そう！小さい頃にあったの！神社の階段の上にベンチあるんだけどね、そこ花火見る絶好の穴場なの！私あんまり人ごみ好きじゃないし、どうせなら静かなところで見たくない？」

俺の方にくるりと振り向いてそう言っている彼女は無邪気な笑顔をしていて、そんな笑顔を見せられていいよなんて言えるのは余程の鈍感か心臓に毛が生えているのどちらかだろう。

俺が承諾の意を彼女に示すと、彼女はくしゃりと顔を綻ばせてやった、なんて言って笑う。

…俺はどうも、彼女のその笑顔に弱いらしい。

「よかった、まだ始まってない…！」

彼女が言ったその穴場のスポットである神社の境内にあるベンチへと彼女がふぅ、と深呼吸して座る。対して俺は先輩に対しての遠慮と少しの恥ずかしさからベンチに座らず彼女の後ろに立っていた。

「ん？加賀美座んないの？立ってんの辛くない？」