【kgm】日記帳【2j3j】 (ページ14)

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「…早く、きすぎちゃったかもなぁ。」

サイドに編み込みを入れ、少しだけガスコテで巻いたポニーテールをいじり、白いオフショルダーのフレアワンピースの裾をさっさと払ってスカートの形を整える。

…浮かれている、というのは百も承知だ。浮かれすぎて頬も熱いし、気合を入れすぎて集合時間の20分くらい前から集合場所にいるし、と側から見たら完全に恋する乙女にしか見えないかもしれない。

もしこれをいつもの友人に見られてでもしよう。きっと死ぬ。それか殺される。

友人が瞳孔を開いて『あんた加賀美くんと夏祭り行った？？』と詰めてくる想像をすると背筋にぞわぞわ、と悪寒がした。

「…あれ、キミ1人っすかぁ？こーんな早い時間帯に。珍しい人間もいるもんっすねぇ。」

「…っえ？」

ふと後ろからかけられた、爽やかで、しかし真意の見えない声。反射的に後ろを向いてその声の主を見ると、蜂蜜色の三白眼を持つ、どことなく妖しげな雰囲気を纏わせた私より年上であろう青年がこちらを見て微笑んでいた。

「…え、っと…」

「いや〜、そっかぁ。“こっち”だと今日は夏祭りなんすねぇ。だから人の気がどことなく多かったんだ…」

“こっちだと”、“人の気”というワードに少しだけ疑問を持ち、少しだけ不安になり首を傾げる。すると目の前の青年はにぱっと人当たりの良さそうな表情を私に向け、どうも！と快活な声で挨拶をしてきた。

「すんません、何も自己紹介もせずに。俺は伏見ガクっすよ！サクッとガクって呼んでください！」

「あ、と…ガク、さん…」

「…う〜ん…まぁ、それでもいっか！お姉さんはどうしたんすか？そんなにそわそわして。待ち合わせ？」

「えっと…そうなんです。やっぱり、そわそわしちゃってましたか？」

「そりゃあもう！緊張してんだなっての伝わってきたっすよ？」

「うえ〜…恥ずかしい……誰かと夏祭り行くのって、本当に久しぶりで。それに行くのも男の子だから、それも相まって緊張しちゃって。」

「お〜〜！いいっすねぇ、青春じゃないっすか！」

「あ、あんまりそういうこと言わないでください…！も〜…ただでさえこういったことなかったから、緊張しちゃうのに…」

「あはは！大丈夫ですって！キミ、かわいいんすから！自信持ってくださいよ！」