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「違うだろ･･････。いつも通り呼べよ...」
またまた耳元で吐息交じりに囁かれる。
息がかかった場所が熱を持って、さらにじーんと体の芯から熱がこもってきたのを感じて、うつむいた。
バックハグのような体制のまま、顎を掬い上げられ、目の前には甲斐の顔。
はっとした時にはもう遅く、リップ音が辺りに響き渡っていた。
『･･････ッ！』
ぱっと離れた口は弧を描いていて、息のかかる距離ではなくなったのを確認するなり、ぱっと口付けられたところを抑えた。
それと同時にぶわっと顔に熱が集中した。
「顔、真っ赤じゃん･･････！」
得意げな顔をして囁く彼はなぜか色っぽく見えた。
『･･････うぅ、き、聞いてないよ。ほ、頬にき、キスするなんて･･････』
「お前が、早くいつも通り呼んでくれればしなかったつーの」
頭を少し照れ臭そうに掻きながら、そっぽを向いて言う甲斐。
これは本人も照れたパターンだ。
「ほら、早く言えよ」
『は、はーくん･･････』
「ん、よくできました」
ふわふわと頭を優しく撫でてくれる甲斐。
気持ちが良くて、目を細め、身をゆだねていると、こんなことになった元凶である男が声を上げた。
「あっ、わ、わかった。わかったから...！も、もうやめてくれ！俺の前でイチャイチャしないでくれっ！頼むっ甲斐！！！」
真っ赤な顔を両手で隠しながら、兵頭は尻尾を巻いて逃げた。
「大胆だな。お前」
と須永が関心したような声を上げる中、石倉も兵頭同様、頬を赤く染めて萎んだような声を発した。
「･･････ッ！お前ら、目の前で急にいちゃつくなよ･･････」
急にしゃがみ込んだ石倉に、大丈夫？と近づくと、お前等のせいだよと、一蹴されてしまった。
「いいの。いいの。石倉はこういうのに耐性のないおこちゃまだもんなー」
真壁が軽ーく石倉を茶化すと石倉は顔を上げムキになっていた。
何かをこそこそと話している里見と甲斐にアイコンタクトを送りつつも、わたわたと慌ててしまっているボクを軽く笑って、須永がボクの肩をたたいた。
「あの二人はほっといてて、大丈夫だから。俺とこっちにいよう？」
『え･･････あ、うん』
拒否権なんてなくって、そのまま手を引かれてボクらの机の周りへと連れ戻された。
相変わらず、兵頭はボクの顔を見ると、ふいっと視線をそらしてしまう。･･････そんな反応されると逆に恥ずかしいんだけど。そんなことをぼーっと考えていた。
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