【３年A組】雨のち晴れ Ⅱ (ページ3)

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『あ、あのっ･･････甲斐くん？』

周りを見れば、逃げ道はないとでも言いたげに須永、石倉、里見に真壁、そして甲斐に囲まれていて、

『え･･････何何？』

「中尾が生きてるかもしれねぇんだ」

『え･･････！？中尾くんが、生きて、る？？』

そんなことを急に言われたって理解が追いつくはずもなくて、オウム返しのような返答になってしまった。

『みんなも見た、よね？中尾くんが刺されたところ･･････』

「でも朝、まったく同じパン食べかけが二つ準備室にあったんだ」

『里見くん、見てきたの？』

「ああ、真壁もな」

そんな危険なっ･･････！

「それで、これからぶっきーのところに行って確かめてこようと思う」

『･･････さっき甲斐くんが言ってたのって...もしかして』

「そう、それが根拠だよ」

さすが、理解早いな
そういって頭を須永がぐしゃぐしゃと撫でてきた。

「というわけで、A行くぞ」

『え、ボクもなの！？』

「気にならねぇのか？」

『いや、気にはなるけど...』

「大丈夫だって、俺たちがいるからよっ」

石倉に肩を軽くたたかれながら、言われたが石倉が言うとまるで説得力がない。･･････なぜだろう。

とそんなことを思っている間にボクは美術室へと引きずられていった。

・

準備室をノックするなり、センセイはすぐに出てきてくれた。
センセイを視界に入れた途端に責め立てるように声を上げる甲斐たち。

「中尾はどこだ」

「俺たちを脅すために、殺したように見せかけただけだろ？」

甲斐の言葉に周りの男子も頷いた。
ボクはただじっとセンセイの目を見つめ続けた。

「･･････ははは」

「何がおかしい！」

「俺は優しい人間に思われてるんだな」

「あ･･････？」

「ちょっと待ってろ」

そうボク等に声をかけて準備室の中へと入っていった。

しばらくして戻ってきたセンセイは何かを握っていた。

センセイはそれをボク等の方へと投げた。
ぼとりと、音を立てて落ちたのは、･･････手だった。

「うわっ･･････！」
『うわっ！！』

みんなで手から距離をとる。

「中尾のだよ、ホルマリン漬けにすれば死臭も少ない。丁度明日には全部切断できる」

センセイは投げた手を再び拾い、目の前にいた甲斐に差し出した。

「ざっけんな･･････！」

後ずさりをする男子とは反対に進みでようとしたが、甲斐に襟首を掴まれそのまま教室へと引きずられていった。