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「なんで俺がコイツより弱ぇーんだよ！おかしいだろ...なんでだよ。こんな奴に負けっかよ！！こんな奴に……、なんだよ。なんだその目は、なんなんだよっ！！！」
「真壁くんは弱くなんかないよ。
……澪奈が言ってた。"私が真壁君の選手生命を奪った。でも、だからこそっ、彼の分まで努力して一分一秒でも速くゴールするんだ"って、"それが私のできることだから"って。
……澪奈がそう思えたのは、きっと、悲しみや苦しみを乗り越えた真壁君を見たからだと思う」
「なんだよ....知ってたよ...」
真壁を掴んでいた手がするりと解け、弱々しく垂れ下がった。
いつもニコニコ笑顔を絶やさない、里見に影が差した。
「こいつが,,,真壁が俺より強えーって……。
取返しのつかないことしたって、そんなん知ってた……！
殴ってくれよ....殴れよ。ほら、殴ってくれよ」
「景山は、きっとそんなこと望んじゃいないよ」
「……っ、」
「その悲しみを、力に変えてくれ里見……っ。景山の分まで……」
「刑事さん、今僕が語ったことはあくまで理想論です。でも、現実はそんなに甘くない」
かちゃり、と金属の擦れ合うような音が聞こえ、センセイを凝視する。
センセイの手には黒光りする――――拳銃が握られていた。
一瞬で教室中がパニックになる。悲鳴を上げ、逃げ惑う者。ただ、目を瞠ってその場から動けなくなる者。そんな中、ボクは甲斐に腕を引かれ、すっぽりと彼の腕の中へと収まっていた。
「なんで銃なんか持ってんだよッ！！」
《拳銃！？》
《柊、何をするつもりだ！？》
「言ったはずですよ〜、間違えたら５人の命が犠牲になるって。
今から言う５人は、隣の美術室へ来い！それ以外の者は教室から出るな！出たら命の保証はない」
「待ってくれッ！！！５人のうち一人は俺でいい」
『……里見、くん...』
ゆっくりと椅子から立ち上がった里見にセンセイは銃口を向け、焦点を合わせていた。
センセイに背を向け、皆のほうに体を向けた里見。彼の口からこぼれた言葉は、ボクにはとても重くのしかかったような気がした。
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