▼ ページ9
「ねぇ、卒業式前の重要な話ってもしかしてコレのこと?このために、全員出席するように、呼びかけたわけ?」
若干切れ気味な諏訪ちゃんの問いかけにセンセイは顔色一つ変えず、間髪入れずに答える。
「そうだよ」
センセイの答えを聞くなり、一瞬だけれども皆の緊張感が増した気がした。
けれども、そんな雰囲気をものともせず、立ち上がった生徒が一人―――石倉だ。彼をはじめとし、数人の生徒が鞄を肩に掛け、後方の扉へと向かう。かくいうボクも、甲斐に手を引っ張られ、彼等と共に、扉の前へとやってきた。・・・・・・が、扉はびくともしなかった。
学校一の問題児と言われ、傷害事件のいくつかを起こしてきた甲斐の力をもってしても扉が開くことはなかった。
「おい!開かねーぞ!」
「扉は開かないよ。特殊な鍵をかけたから」
「さっきからわけわかんねぇこと言いやがって!さっさとドア開けろっ!」
ついに甲斐のイライラがピークに達したようだ。鞄を放り投げ、繋いでいた手は乱暴に離された。
次の瞬間、その(甲斐の)手は、センセイの胸倉を掴んでいた。
甲斐がセンセイを殴る。
甲斐は口よりも手が先に出てしまうタイプではあるが、そんな軽率な行動―センセイを殴る―は今まで一度もしてこなかった。
そんな甲斐が今回ばかりは行動に出たのだ。それほどイライラがMAXなのだろう。
ここまでいってしまうと、甲斐を止めることは簡単にはできないし、・・・・・・きっとその必要もないだろう。
――振り翳された甲斐の拳は、いとも簡単にセンセイの手に受け止められた。
予想外の出来事にあっけにとられる甲斐。力の緩んだこの一瞬の隙をセンセイは見逃さなかった。
あっという間に、形勢逆転。教卓の上に甲斐を押し倒し、甲斐のブレザーのポケットに入っていた折り畳み式のナイフを取り上げた。
そんな甲斐とセンセイの一連のやりとりを黙ってみているわけにもいかない。呆然と立ちすくんでいた生徒たちも、一人、また一人と我に返っていく。
その中でもいち早く我に返っていた須永が呻き声を上げた。
「テメェ・・・・・・」
いつもは冷静沈着で、たとえ怒っていたとしても怒りを露わにしない彼が珍しく青筋を立てている。
須永に続き、石倉と中尾もセンセイに殴りかかっていった。・・・・・・が、センセイは一瞬にして彼等を蹴散らした。
床に転がっている彼等をまたも呆然と見つめるクラスメイト達。そんな中、水越だけは彼氏である中尾の元へ駆け寄っていた。
164人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美紀 - このドラマ大好きなのであと大好きな涼太君が出てるので最高ですオチ涼太君がいいです (2019年2月21日 15時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ