【３年A組】雨のち晴れ (ページ34)

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センセイはボクが口を完全に閉じたことを確認した後、口を開いた。

「お前ら全員、揃いも揃ってクズだなぁ！」

狂気的な笑みを浮かべるセンセイの顔を見て、言葉を失う。

「自分が助かれば、他人がどうなっても構わない、イカれてるねぇ。どうしてそんな、貧しい考えが生まれるのか･･････モラルの欠如、アイデンティティの拡散。･･････要は中身が空っぽなんだよ！！」

センセイの言葉はとても痛々しかった。
それこそ、イジメられてた時並みに、グサリ、グサリと一言一言確実に刺さってくる。

「お前たちはさっきの茅野や水無月を見ても何も思わなかったのか？
景山の死から目を背けていた自分を奮い立たせて向き合おうとした茅野を、水無月を見て何も思わなかったのか！

【過去の自分が今の自分を作る！】だから、過去から逃げてるお前も！お前も！！お前も！！！
極めて幼稚なガキのまま、成長が止まってるって訳だ！
そんな奴らがいったい何から卒業するっていうんだよ！！」

センセイの言葉は頑丈で、心には刺さるけど、傷を作っていくというよりかは、ゆっくりと沈み込んでいく感じがした。

「いいか！聞けっ！！何故、景山澪奈は死ななければならなかったのか！これから、彼女の生き様を通して、お前らの考えがいかに脆く、弱いものなのか、思い知らせてやる！！」

センセイは必死だった。本気でボクらを変えようと奮闘している。
でも、まだ足りない。足りないんだ。このクラスには、こんなもんじゃ、足りない。

予想していた通り、中尾がセンセイに掴みかかった。
センセイは中尾をひらりと躱し、彼の肩を両手でしっかりとつかんだ。

「そして、変わるんだ。
【悪意にまみれたナイフで、汚れなき弱者を傷つけないように！】変わるんだよ！！

･･････変わってくれ！！」

懇願、といったところだろうか。センセイは涙を流しながら、でも確実に彼の、ボクたちの心に沈み込むように唱えた。

一息つく間もなく、警報機の音が教室中に響き渡った。
侵入者を知らせる警報音だ。
ちらりと見たセンセイの顔は、ボクらを人質にとると言った時のように、冷たくて。頬を流れていた涙は消え去ってしまっていた。

センセイは窓から、外を一度だけ見るなり、何かを決意した表情になった。

「いいでしょう。そちらがその気なら･･････、――――最初の犠牲者はお前だ」