【３年A組】雨のち晴れ (ページ21)

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カチャリ....と人質になる前と同じように鍵を静かに閉めたセンセイを見つめながら、二つだけセンセイに問う。

『センセッ、ペナルティーってなんですか。それと、一人殺すって正気ですか？』

「質問が多いなぁ。まあ、いっか。･･････ペナルティーの内容は、時間になるまでお前にはここにいてもらうということ。外に出ることは禁止する。それと、携帯、壊しておけ」

『･･････っは？なんで』

「GPSと盗聴器。ついてるから」

『マジか･･････そんなとこにも。....気が付かなかった』

「あともう一つ。俺は、正気だ」

『っていうか、･･････まあいいや』

突っ込みたくなって、あきらめた。無駄だ。この状態のセンセイにツッコミを一つ入れたところで、ボケ(ほんね)が返ってくるだけだ。

大人しくセンセイに言われた通りにスマホをぶっ壊しておく。壊して、バラバラになったスマホの残骸をセンセイに渡して、用意された椅子に腰かけながら、センセイがチェックしているパソコンを覗く。

「なんだ。興味あるのか」

『興味あるも何も、早く戻りたいんですけど』

「無理だ。ペナルティー中だからな」

『そういわれると思ってました』

ああいえばこういう、とはまさにこのことかというほどの会話である。

***

どのくらいの時間が経ったのか。準備室の時計をちらりと見れば、指定された時刻まであと１時間ほどで。
しばらくセンセイはパソコンとにらめっこしていて、たまに景山の動画が流れたり、マイボイのコメントが流れたり、見知らぬ可愛い女の人の動画が流れたり....と忙しなく機能していたが、ボクは暇で暇でたまらなくて、足をぶらぶらとしたりして、遊んでいた。

「そんなに暇か？」

いきなり話しかけられて驚いたが、センセイの目は動画に映っている女性にくぎ付けだった。

『その人、誰ですか？』

「･･････俺の元、彼女だ」

『元、ですか。意外ですね。別れるなんて･･････何かあったんですか？』

「お前はまだ知らなくていい」

『そうですか。･･････"まだ"ってことはいずれ知ることになるんですね』

「まあな。それより、お前に言いたいことがある」

『なんですか？』

いや、まじでなんですか？
もしかして、あくまでも人質なのに、犯人の傍で安心して昼寝をするなとかそういうこと？
うわあ･･････あったかくて、眠くなりましたなんて本音でも言い辛い。