お代わり:腹八分目に君が好き。-1 ページ26
僕らは、暗くなった外をのんびりと散歩していた。
「そう言えば、君と初めて会話したのはこの辺りだったっけ」
「ああ。君は馬鹿みたいに走ってた」
「だって馬鹿だもん」
そう言って彼女はケラケラ笑った。今思えば、あれは“暗殺”とやらの為だったんだろう。
「あ、忘れてた。本題。メアドと電番、教えて」
「ああ。分かった」
彼女は僕の連絡先を携帯に打ち込むと、そのままポケットに入れた。
――僕に連絡先を教えずに。
「……君のは教えてくれないのか?」
「ん? だって別に要らないでしょ、私のなんか」
「いや……出来れば欲しい。君が良いなら」
彼女は気の抜けた表情でまじまじと僕の顔を見つめた。
「……どうした?」
「あぁ、いや……うん。へへ、君、嬉しいこと言ってくれるね」
「は?」
「あはは、何でもないよ。君が欲しいなら別にあげるよ、ふふ」
ニヤニヤ笑いながら彼女は再びポケットから携帯を取り出す。
僕は白けた顔で彼女を見てやった。
「何をニヤニヤと……気持ち悪い」
「承知の上だし。君は気持ち悪い奴の連絡先が欲しいんだね、結構結構!」
「別に僕は君が気持ち悪い奴だから連絡先が欲しい訳でも無いんだがな」
「へぇ」、と彼女は出した携帯を弄りながら声に出す。「じゃあ何で連絡先欲しいの?」
「何で、って……どうだろう」
彼女に、何故、と訊かれて僕は考えてみる。
彼女と話すのが、彼女が見せる笑顔が、楽しいから。
彼女を揶揄うのが、揶揄われるのが、楽しいから。
どれか、じゃなくて、どれも正解だと思う。僕は実際そう感じているから。
そして僕は、いつだったか、結論を出した。
生まれて十五年、まだ足りない知恵を絞りだした時、いちばん近いと感じた言葉。
「……君が好きだから?」
僕が疑問符を付けた結論を口にすると、
彼女の携帯は、乾いた音を立ててアスファルトの上で跳ねた。
お代わり:腹八分目に君が好き。-2→←+Thank you for the dericious meal.-ご馳走様でした。
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緑茶 - 他の方も言ってらっしゃいますが、数の少ない浅野くんメインの小説は、すごく私得でした！個人的には全然暗殺教室の小説は需要あると思います！これからも無理はなさらず頑張って下さい (2019年8月14日 20時) (
レス) id: 1907b7e26f (このIDを非表示/違反報告)
桃野忍(プロフ) - ライラさん» コメントありがとうございます。ほのぼのを目指して書いていたので、そう言っていただけて凄く嬉しいです! (2019年7月31日 16時) (レス) id: ab6d1b44ca (このIDを非表示/違反報告)
ライラ - 浅野くんの小説が少ないなかでこんなに素晴らしい作品に出会えるとは思ってませんでした…ほのぼのしつつなんだかんだ主大好きな浅野くんが好きです笑 (2019年7月31日 1時) (レス) id: 3c124a00ab (このIDを非表示/違反報告)
桃野忍(プロフ) - ひかりさん» 返信が遅れて申し訳ありません。ありがとうございます、本当に嬉しいです！ (2019年6月19日 13時) (レス) id: ab6d1b44ca (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - はじめまして！浅野君がかっこよかったし、ストーリーもとても面白かったです！ (2019年4月4日 20時) (レス) id: c753592d54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桃野忍@もものしのぶ | 作成日時：2017年1月21日 12時
