すき、きらい、すき。 (ページ7)

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君には敵わないページ7

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最後にレスポンスが返ってきたのは、
グラチャンが始まるちょうど1週間前。

トーク画面を開いては溜息をつくのが
すっかり毎日の日課になっていた。

「...なんなの」

祐希がイタリアからやっと帰ってきた、
と思ったのも束の間。

全日本に招集され、練習や合宿の積み重ね。
わたしだって学校にバイトの繰り返し。

おかげで会う暇なんて微塵もないし、
会えない代わりにととっていた連絡も
遂には途切れてしまっていた。

彼の立場上こうなることも覚悟はしていたけれど、
いざそうなってみると結構寂しいもので。

「え...何泣いてんだろ、」

グラチャンも終わったし
一言連絡ぐらいくれてもいいじゃんとか、
わたしだけ好きみたいで嫌だとか、

呟いてみたけど
それは独りの空間に虚しく響くだけだった。

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"会いたい"

って心の中で思ったと同時に
インターホンが鳴るからドキッとした。

まさか、そんな
とは思いつつ、心のどこかでは期待をしていたのかもしれない。

「A、ひさしぶり」

だって、こんな時に限って本当に現れるんだから。

「え、なにA、泣いてんの？」

私の大好きな可愛い笑顔でそう言われて、
堪えていた涙はもっと溢れた。

「...久しぶり、じゃないよ、ばか」

会いたかったとか
そんな可愛いことは全然言えなくて、
なんかもう色々抑えられなくて抱き着いた背中は
今までよりずっと温かく感じて。

「祐希、さっき王子様みたいだったよ」

「王子様だよ、俺」

「そうなの？」

「そうだよ」

久しぶりのこの会話も、
涙を拭うその手も、
全部温かくて、ずっとこれを待ってた。

「俺のお姫さま、中へどうぞ」

そんな変わらない呑気な彼に

会いたかったとか、
連絡できなくてごめんとか、
何かあってもいいじゃんって言いかけたけど

「夜は長くなるぞー」

祐希も嬉しそうだったから、
その笑顔みたら
もう何でもいいやって思ったの。

「いやー、でもさすがに会いたすぎたよね」

そうやって最後に爆弾を落としていく
祐希には、到底敵わないと思った。

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会いたいと思ったら、君が。