風邪 ページ1
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「かぜひいた、はやくきて」
待ちに待った祐希と久々のデート。
待ち合わせ場所に着く頃、
そんなLINEが1件
「え、」
どうしよう、と
その場でしばらく考えた末
とりあえず家に向かうことにした。
ほんと世話焼きだなと思いつつ、
こんな日に風邪引いちゃうところも
祐希らしくて可愛いな、
とさえ思ってしまう自分は
相当彼にハマっているのかもしれない。
「おじゃまします。」
一応インターホンは鳴らすけど
貰っていた合鍵で彼の部屋に入る。
「祐希？」
「あ、Aだー」
そう言ってわたしに手を伸ばす彼は
思ったよりもしんどそうで、
可愛いとか思ってごめんねって
心の中で謝った。
「薬飲もっか？」
「やだ、」
「飲まないと治んないよ」
「Aがいるからいい、」
「全然意味わかんないよ」
嫌々だったけど、
無理やり薬を飲ませた。
内心ちょっと嬉しかったのは秘密にしとく。
「今日はしっかり休んでね」
「…デート」
「はいはい、また今度」
あー。とか言いながらブーブー拗ねる祐希に、
そんなにデートしたかったのかなって、
やっぱり少し嬉しい。
「A」
「何？」
「もっとこっちきて」
「っわ…」
グイッと腕を引っ張られ、
体制を崩しベッドに倒れ込んだ。
気付いたら祐希の腕の中。
「あー、落ち着く」
「祐希熱いよ」
「Aが来たからもっとね、」
…なにも言えないじゃん。
いやいや！しっかりしろ自分。
病人に抱き締められてる場合じゃない。
「祐希、離して」
「やだ」
「どんなわがままよ」
「むり」
何言っても聞かない頑固な祐希に
若干呆れた頃に、
「もー、ゆう…」
もうこれ以上何も言わせないとでも言わんばかりに、唇を塞がれた。
「A、うるさい」
「ちょっ…、何すんの！」
「ちゅー」
何を言うかと思えば、
そんなことを言い出す彼。
…ちょっとキュンときたじゃんか。
「風邪移るじゃん…」
「おれのならいいでしょ、」
何それって怒ってやろうと思ったけど
祐希がやってやったって顔で
嬉しそうに笑うから、
何も言い返さないで
抱き締められてあげた。
-
(Aもちゅーしたかったくせに)
(いや、でも流石に祐希の風邪でも移るの嫌だよ)
(…？！？？！？)
(おれ、超恥ずかしいこと言ったじゃん)
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作者名：まる | 作成日時：2016年9月25日 10時
