陸【文句なんて無いだろ？】 ページ9
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あやしやに到着したフブキの目をまず奪ったのは、レイヤが遊び半分で開発した道具の数々だった。
「これは？」
「目からビーム発射装置」
「へぇ。こっちは？」
「ただのクリーナー」
「とてもそうは見えないけど。
こっちのボールは？」
フブキは珍しい、下手をしたらここにしかない道具に興味津々だった。
「手持ち花火」
「これが手持ち？ どう見ても危険でしょ！」
……中にはおもちゃに見せかけた凶器も混ざっているのだが。
「で、ずっと気になってたんだけど、その肩のふわふわは？」
流れで、フブキはヤミィを指差して言った。レイヤは少し返答に困った。
「あー、こいつは、……居候、だな」
「この子も発明品？」
「いや、怨霊だ」
「へぇ〜」
フブキは怨霊、と聞いても、全く動じなかった。きっと慣れているのだろう。
「で、これから何をするの？」
「お前の靴の改造だ。ってことで寄越せ」
「強引なのね。別に良いけど」
＊・＊・＊
1時間ほど経っただろうか。
「とりあえず今はこれで良いだろ」
レイヤは無造作にフブキに靴を返した。
「やるじゃん！ コントロールも良い感じだし、性能も文句無しね」
「だろ？」
部屋の中を自在に飛び回るフブキと、それを見て鼻が高いレイヤ。
さて、と次の会話を切り出したのはレイヤだった。
「これで準備完了だな」
「準備って、今度はどこに行くつもり？」
「決まってんだろ。北の塔」
北の塔、と聞いて、フブキは今後の展開を察した。
「女の子が幽閉されてるって塔でしょ？ 行くに決まってるじゃない！」
そう言うが早いか、フブキは店から飛び出し、空からの最短ルートで塔を目指した。
「ったく、気が早いな、アイツ」
レイヤはそう笑って、スニーカーの機能を開放した。
そう、レイヤも既に自分の靴をジェット噴射機能付きに改造しているのだ。
漆【プライドって存在するのかな？】→←伍【やっぱりお前も気になるタチか】
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