伍【やっぱりお前も気になるタチか】 ページ8
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保健室の外にて。
追い出されて、暇を持て余していたレイヤは、1人の少女を見つけた。服装からして、IT基準者のようだ。
「何だ？ お前もYSPで呼び出し食らったやつか？ それとも俺と同じ通りすがりの暇人か？」
やる気ゼロで話しかけたレイヤ。少女は不審者か何かと勘違いしたようで。
「催涙スプレー！」
「っ、ゴーグルモード！」
レイヤはとっさに眼鏡を変形させ、ガスを防ごうとしたが、鼻と口からガスが流れ込んだ。喉の奥がヒリヒリする。かなりの刺激だ。どう考えても市販品ではない。
「ゲホッ、ゲホッ、……何だよいきなり」
「女の子の防犯アイテム、『催涙スプレー』」
「魔改造済みの、か」
レイヤがそう付け足すと、少女は少し困った顔になった。
「ばれちゃったか」
「こっちもITの端くれなんでね、そういうことはとっくの昔にやってんだよ」
嫌悪感を抱きながら、レイヤは少女にここにいる訳を訊いた。
「あの時計が気になって、つい来ちゃったの」
「あぁ、YSPウォッチか。分解でもしてーのか？」
「ご明察。もしかして、貴方も？」
「いや、俺は見ての通りの暇人だ。
ところで、お前が履いてるそれって自作か？」
レイヤにそう問われ、少女は目を輝かせた。
「よく分かったわね。試運転だったんだけど、うまくコントロールできなくて」
テヘッ、と笑って見せた少女。レイヤはここぞとばかり言った。
「それさ、俺に見せてくれよ。良い感じに仕上げてやるからさ」
少女は一瞬きょとんとした表情になったが、すぐにそれは笑いに変わった。
「貴方、面白いこと言うのね！ 私は姫川 フブキ。貴方は？」
「稲本 レイヤだ」
2人はレイヤが店長を務める店、あやしやに向かったのであった。
陸【文句なんて無いだろ？】→←肆【YやばいくらいS素敵なPパーソン】
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