肆【YやばいくらいS素敵なPパーソン】 ページ7
「行くよ、紅葉。見てなさい、新入生！」
ツボミが出て行った途端、新入生がざわついた。
「え？ 相手代わるの？」
「番長さんのもう1人の手下……？」
観戦していた2人は少なからず動揺しているようだが、赤い新入生のほうは全く物怖じしていない。
「可愛い……でも番長より弱そうだな」
「言っとくけど、YSPだけ見たら私のほうが上だから。あと、手下じゃない」
ツボミはそうとだけ言って、左腕のYSPウォッチにメダルを差し込んだ。
「チェンジフォーム!!」
白い光に包まれて、ツボミの姿が変化した。
「春風 桜花、参ります」
ツボミの変身に新入生たちは驚た様子だった。園等先生が解説をする。
「アレもYSPウォッチの力よ。ジンペイくんも、メダルを持っている怨霊と同じことができるわよ」
ジンペイと呼ばれた男子は、隣の真ん丸妖怪と合体すると考え、悪寒か何かで震えた。
その間にも桜花はジンペイと赤い怨霊に技を仕掛ける。両手の疾風を纏った扇が、流れるように技を繰り出す。
「ほらほら、力の差は歴然よ。貴方たちも協力したほうがいいと思うけど」
園等先生が煽る。ジンペイはやっと腹を括った。
「しょうがねぇ！ チェンジフォーム！」
妖気に包まれ、ジンペイと赤い妖怪が合体する。
「剣豪 紅丸」
剣と扇、炎と風が激しくぶつかり合う。一進一退の攻防ががしばらく続いた。
そして、決着、というのが妥当なのだろう。
2人の妖怪HEROの変身が解除された。
「ハァ、ハァ、あんまり長いこと変身できないんだな」
「そりゃそうだ。ずっと変身してられるなら価値がねーだろ」
変身が解け、そう呟いたジンペイに、観戦に回っていたメラはかなり冷静に返した。
「にしても、必殺技なしとはいえ、初めてでここまで粘られるなんてね」
「生意気だが使えそうだな」
ツボミとメラはそれぞれの感想を口にした。ジンペイはすぐに回復し、胸を張って言った。
「そうだろ。俺はスゲーからな」
伍【やっぱりお前も気になるタチか】→←参【新入生歓迎会ですか？】
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