肆拾伍【何も見なかったことにしよう】 ページ48
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「失礼しま……」
「結婚してください」
保健室の扉を開けると、九尾 リュウスケ、学園一のイケメンと噂されるド変態が、園等先生にアタックしているところだった。
マタロウがいないことを悟ったレイヤは、何も見なかったことにしようと背を向けたが。
「レイヤ君、ちょっと良いかな？」
リュウスケに呼び止められ、レイヤは仕方なく振り向いた。
「何で僕の出番が無かったのか、説明してくれる？」
「は？」
突拍子も無いリュウスケの質問に、レイヤの思考は一瞬停止した。
「とりあえず最初から説明しろ」
「僕が入学式の日の事件に関われなかったことだよ。小西先生には『漫画の尺が足りなかったから』と言われたけど、ここの作者からは何も聞いてない！」
レイヤは唖然としてリュウスケの愚痴を聞き流していた。そうとも知らず、リュウスケは話し続ける。
「ここの作者は君たち2人を事件に関わらせることができた。だったら、僕だって話に入れたっておかしくない。なのに、何で僕は蚊帳の外だったんだ！」
そう叫ぶと、リュウスケは1人うなだれた。
「んなもん知るか！ それとも依頼を受けようか？ お前の代わりに作者に訊いてこようか」
意地悪そうにレイヤはリュウスケを覗き込んだ。しかし、リュウスケは首を横に振った。
「いや、後で直接訊くことにするよ。呼び止めて悪かったね」
リュウスケはそう言うとすぐに立ち上がり、再び園等先生を口説き始めた。レイヤはその様子を横目で見ながら、保健室を後にした。
＊・＊・＊
あやしやNote
作者が九尾を出さなかった理由は、『漫画に出ていなかったから』らしい。
意味ありげにマタロウたちを陰から見ているという描写が漫画にあったのを、何か深い意味があると読んだ作者だったが、後のコロコロで、『尺が足りなかった』という事実を知り、心中で謝っていたようだ。
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