肆拾肆【店番頼んだ】 ページ47
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学園マフィア騒動から数日。あやしやは通常営業を再開していた。
コロコロ、とベルが鳴り、店の扉が開いた。
「いらっしゃいませ……？」
反射的に接客スマイルを作ったレイヤだったが、そこには誰もいない。よく目を凝らすと、うっすらと桃色のネズミのような生き物が見える。
「本日はどのようなご用件で？」
眼鏡のピントを合わせ、はっきりと見えるようになってから、レイヤは来店した生き物に話しかけた。
「モモの相談聞いてくれるのねぃ？」
「勿論。大事なお客様ですから」
ちょうどその時、ツボミが裏方の仕事を終わらせて出てきた。
「いらっしゃいませ、って、可愛い！ レイヤ、何その子！」
「お客様」
「成程。ご用件は？」
ツボミはすぐに状況を飲み込み、生き物、モモに訊いた。
「マタロウに恩返しがしたいのねぃ。どこにいるか知らないかねぃ？」
「マタロウ……あぁ、あのタマネギ頭か。どうせそこらへんにいるだろ。
ツボミ、店番頼んだ」
レイヤはそう言うとカウンターから立ち上がった。
「分かった。行ってらっしゃい」
ツボミが手を振る頃には、レイヤは既に店から出て行った後だった。
＊・＊・＊
店を飛び出したレイヤとモモは、学園のほうに歩いていた。
「マタロウはどこにいるですねぃ？」
モモは始終きょろきょろとしているが、レイヤの足取りは確実なものであった。
「安心してください。行動の見当は付いていますから」
レイヤはそう言ってここ数日のドローンの映像を思い出していた。
1-A玉田マタロウ。よく一緒に行動しているのは同クラスの寺刃･小間の2名、たまに姫川とも一緒にいる。そして、授業以外の時間は大体保健室か校舎裏にいた。
「とりあえず、まずは保健室、それでいなかったら校舎裏に向かいます」
「それでマタロウに会えるのねぃ？」
モモは不思議そうに首を傾げたが、レイヤの足取りに迷いは無かった。
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