【妖怪学園Y】持つ者、持たざる者・序 (ページ46)

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肆拾参【頼りたくはなかった】ページ46

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　3グループ分のドローンと延滞料金を回収したレイヤとツボミは、あやしやに帰還し、片付けとドローンの修理をしていた。

「まさかウチまで手伝わされるなんて」

　店内をふわふわと漂いながらそう呟いたのは紅葉。少々不満そうである。

「レイヤ、最後のあの作戦、他にどうにかならなかったの？」

　領収証の整理に追われるツボミも頬を膨らませた。

「変身して他人に見えないようにしてから大将さんを気絶させるとか、普通やらないでしょ」
「普通ならな」

　レイヤは抗争の犠牲となった蜂たちを治療しながら答えた。

「そもそも俺は普通になった覚えはねぇし、相手もマフィアなんだし、良いだろ。
　大体この作戦だって、わりと理に適ってると思うけどな」
「どこが？」

　ツボミの突っ込みが追いつかぬ中で、レイヤは説明した。

「旭光の翼はマフィアの中でも特に喧嘩とかの強さがものをいうグループだ。そんな奴らを従わせるには、手っ取り早く一番強い奴に喧嘩に勝てば良い」
「だとしても、あれで力を示したっていうの？」
「運も実力のうちだ。それに、あの後は他の奴らも全然襲ってこなかっただろ？」
「そりゃそうだけど……」

　レイヤの説明を受けてなお、ツボミは納得がいかなかった。そこを補うかのように、レイヤは呟いた。

「本当はそんなもんに頼りたくはなかったが」
「えっ？」

　ツボミが振り返ると、レイヤははっとなって首を振り、わざと明るく言った。

「さて、さっさと終わらせて帰るぞ」
「……そうね」

　レイヤが一瞬思い詰めたような暗い顔をしていたのに気付いた者は、あやしやの中には誰もいなかった。