肆拾弐【脳筋相手だからこそ】 ページ45
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青葉会、青眼の白竜を制覇したレイヤとツボミは、残る旭光の翼を落としにかかった。
「やっと最後ね」
「あぁ」
青眼の白竜の時とは逆に、ツボミは楽観的だがレイヤはそうでもないらしい。
「別に、脳筋相手なんだし、そんなに心配しなくても」
「脳筋だからだ」
「え？」
なぜレイヤがそれほどまでに旭光の翼を警戒しているのか、ツボミは理解できなかった。
「とにかく、行くぞ」
「はいはい」
＊・＊・＊
旭光の翼の本拠地は暗い路地を何度も曲がった入り組んだ場所にある。そして、そこに辿り着く為の道にはいかにもヤンキーという見た目の生徒が常駐している。
並の生徒なら見ることすら躊躇うその路地に、街中を歩くのとそう変わらない速さで入った2人の生徒は、次々に殴りかかってくるヤンキー共をことごとくすり抜け、奥へ奥へと歩みを進めた。
「俺らのシマに土足で入り込む命知らずは誰だ？ 名乗れ」
最奥部に侵入した1人の男に、旭光の翼の大将、赤羽は問いかけた。手には不良の定番釘バット。
「あやしやの店長だ、とだけ言っておこうか、3年A組赤羽巴」
「貴様、なぜ俺のことを？」
赤羽は苦虫を噛み潰したような顔になり、バットをさらに強く握った。
「そりゃ大事なお客様のことですから、全部この中に入ってますよ」
余裕綽々といった表情でレイヤは自分の頭を指で2度ほど叩いた。赤羽の顔は紅潮した。今ので随分とご立腹らしい。
「おやおや、そんなタコみたいな顔して、それでも旭光の翼の大将ですか？ 情けない。ま、俺は用事さえ済めば良いのでどうでもいいですが」
「貴様！」
赤羽は血走った目を大きく見開き、叫んだ。レイヤはお構い無しに話し続けた。
「ドローンの返却と延滞･破損料金の支払いをお願いします」
「舐めやがって！」
レイヤの営業スマイルで、ついに赤羽の怒りは頂点に達した。
「貴様は本気でこの俺を怒らせたようだな。俺が直々に手を下してやるよ」
赤羽はそう言うと、釘バットを振り上げレイヤに向かって走った。レイヤに向かってバットが振り下ろされるその瞬間。
突然、赤羽の身体が吹き飛ばされた。赤羽はそのまま失神し、レイヤは身動き1つせずに突っ立ったままだった。
レイヤは赤羽が完全に伸びていることを確認し、声を張り上げた。
「こちらあやしや。ドローンの返却と延滞･破損料金の支払いをお願いします」
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