肆拾【準備完了よ】 ページ43
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三つ巴であった抗争にも決着がつき、すぐに学園に平和が戻ったかと言われれば、そうではないと断言できる。
少なくとも、ここあやしやでは。
抗争での敵陣視察などに使用されていた蜂たちはそろそろ帰ってきても良い頃だが、残念ながら未だに帰ってこない。学園マフィアたちが一向に返しに来ないせいである。
マフィアだろうが何だろうが、店と客の間で交わした約束はきっちり守っていただかなくてはならない。たとえどのような手段を使おうと――
＊・＊・＊
抗争から2日。
「ツボミ、用意できたか？」
「大丈夫、準備完了よ！」
レイヤとツボミは防弾チョッキにヘルメットという少々物騒な格好をしている。何を隠そうこの2人、学園マフィアの各拠点に乗り込み、返却の催促に行こうというのである。
「で、どこから回るの？」
「毎度恒例最下位からで良いだろ」
レイヤはあくびでもしそうなテンションでそう言ったが、手には彼が開発した最新型の銃がある。
「OK。なら早速行きましょう！」
遠足にでも行くようにスキップで店を出たツボミ。これから行くのがマフィアの本拠地だとは誰も思うまい。
レイヤもそんなツボミを視界の隅に入れながら店の鍵を閉めた。
＊・＊・＊
「会長！ 敵襲です！ 門を破られました！」
けたたましい声と同時に、青葉会の集会会場に走りこんだのは下っ端の門番。
「何っ！ 誰だ、この神聖なる青葉会に侵入するのは？」
「あやしやの店長だって叫んでます！ 銃まで持ってて、マジで強い――」
会長、青柳の問いの答えはそこで途切れた。代わりに現れたのは、防弾チョッキとヘルメットの男女2人組。
「青葉会の皆さん、ドローンの返却と延滞･破損料金の支払いをお願いします」
2人組のうち男のほう、レイヤは陽気な声で言いながら、青柳に銃を突きつけた。
「青柳先輩、私たちも手荒な真似はしたくありません。大人しく渡してくださりますか？」
もう1人、ツボミが囁くように青柳に問うた。青柳をはじめとした青葉会の者たちは、2人に従うほか無かった。
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