参拾漆【中間の犠牲者は誰だ】 ページ40
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テスト返却当日。校舎全体を沈黙と緊張が覆う。テストの上位者のほとんどは自分が何番目かを気にするし、そうでなくとも、絶対に恐ろしい補習には行きたくないと天に祈る者が大半である。
中には赤点確定でへらへらと笑っている奴や、上位勢でも順位を気にしない無関心の塊もいないわけではないが。
とかく、出席順に返却される解答用紙を、生徒たちは神妙な面持ちで睨みつけていた。
「次、稲本」
出席番号が特に早いレイヤは、テストを受け取り席に戻ると同時に、番号の遅い男子にたかられた。
「なぁ、お前何点？」
群がる男子どもはとにかく五月蝿い。面倒臭さと苛立ちが大きくなる。
「赤点は取ってない。さっさと失せろ」
レイヤの口の悪さが発揮されるが、それ以上に男子どもはしつこい。しばらくのにらみ合いの後、ついに解答用紙を取られた。
「強がりやがって。俺のほうが点数高い……って、ハァ!?」
野次馬のうち1人が叫んだ。
「一番低いのが85って、お前正気か!? どこに赤点要素あるんだよ！」
レイヤの点数が晒され、ただでさえ五月蝿かったものがさらにやかましくなったところで視点はツボミに移る。
「木蔭」
レイヤに遅れること数人。ツボミは静かに用紙を受け取った。
「ツボミ、どうだった？」
「一番低いのが47。危なかったよ。ミッちゃんは？」
「ギリ49。今回は自信あったんだけどなぁ」
肩をすくめながら普通そうな話をするツボミとその友達。その後ろでした男子の悲鳴は、おそらく聞き間違いではないだろう。
「29だと!? 嫌だ、勘弁してくれ！」
「坂本、これが現実だ。受け入れて逝ってこい」
「嫌だ！ 補習だけは、補習だけはァァァ」
赤点を取ってしまった生徒、坂本は、どこからともなく現れた筋肉によって連行されていった。
＊・＊・＊
あやしやNote
・旭光の翼
スポーツ基準者が多い。基本脳筋集団で、補習で参加できない生徒も多い。
参拾捌【戦争とは金儲けの手段である】→←参拾陸【中間テストにて始動】
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