参拾陸【中間テストにて始動】 ページ39
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間もなく今年度の第1回定期試験、1学期中間テスト。
それすなわち、Y学園で抗争が起きる時期でもある。
各定期試験において、赤点、つまり一定の点数に達しなかった生徒には、別校舎にて特別補習授業という名の地獄が待っている。
たとえ警察やマフィアでもこの制度に逆らうことはできない。つまり、Y学園で最も人が少なくなる時期である。
この時期、学園マフィア内での抗争がある。その抗争に参加できるのはマフィア内で赤点を取っていない者全員。新入生も上級生もお構い無しにドンパチを行う。
Y学園ではテスト返しが行われた日は各企業は臨時休業に、クラブは活動休止になることが多い。一説には、その日行われる抗争最終日の大乱闘に巻き込まれないようにするためや、逆に抗争に参加するためともいう。
しかし、あやしやはそんな中でも営業を続ける異質な店だ。それどころか、今回もマフィアどもから金を巻き上げてやろうとか一般人からは頭がおかしい人にしか見えないことまで目論んでいる。
＊・＊・＊
そんなあやしやに今日やってきたのは、青制服の男子生徒。
「いらっしゃいませ」
レイヤは来店した生徒を少々悪い笑みを浮かべながら出迎えた。
「旦那、今日はどういった用件で？」
この生徒は噂の学園マフィアの生徒。そのうちの今年の優勝候補グループの1つ、『青眼の白竜』の幹部的存在である。
生徒は陳列されている商品には目もくれず、真っ直ぐにレイヤの元へ進んで言った。
「貸し出しを頼む。ドローン1ダース」
「かしこまりました。少々お待ちを」
注文を受けて店の裏から取り出したのはスーツケース。中には蜂さんドローン汎用版とコントローラーが12個ずつ、ドローンの映像を映し出す小型モニターが1つ入っている。
「こちらでよろしいでしょうか？」
「あぁ」
「では、こちらに記入を」
「了承した」
貸し出し手続きと前料金の支払いを済ませた生徒は、スーツケースを持って去っていった。
今回の抗争の参加グループはレイヤが記憶する限り全部で3つ。その分武器開発に勤しんでいるあやしやも儲かる、というわけだ。
勿論、貸し出したものが返品時に壊れていれば、追加料金も取る。もし支払いを拒否しようものなら、そのグループがどうなるか、それは誰も知らない。
＊・＊・＊
あやしやNote
・青眼の白竜
芸能･IT基準者が多いマフィアグループ。兵器開発も行っているらしいが、実用には至っていない様子。
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