参拾伍【怨霊絡みだったな】 ページ38
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ビニール傘の怨霊が言い残した場所に行くと、そこには怨霊が奪ったであろう大量の傘が置かれていた。
「よし、帰るか」
レイヤはそこにあった傘を紐でまとめると言った。その様子を見ながらツボミも頷く。
「そうね。笠木君はどうする？」
「えっと、僕は……」
笠木は悩んで口ごもったが、答えを待たず、レイヤが言った。
「ここまで付き合って、疲れたでしょう。笠木君のはこれで合ってますか？」
「あ、はい」
「店で保管しておきますから、明日支払いと一緒に取りに来てください。今日はゆっくり休みましょう」
レイヤがそう言うと、笠木は少し迷った後答えた。
「分かりました、ありがとうございます」
笠木はその後ぺこりと頭を下げて寮に歩いて行った。
「さて、今度こそ帰るぞ」
レイヤとツボミは笠木とは反対方面、駅のほうに歩いた。
＊・＊・＊
Y学園駅に戻った2人。インフォメーションセンターで、怨霊が持っていた大量の傘を渡すと、流石に驚かれた。
傘はどこにあったか、どうやって手に入れたか、そもそもレイヤたちが傘を盗んでいたのではないかという疑いまでかけられた。
疑いを晴らし、あやしやに帰ったのは随分と遅い時間になってから。
金平糖をヤミィとほおばりながら、レイヤは背伸びをした。
「まさか怨霊絡みだったとはな」
呑気なレイヤにツボミが突っ込みを入れた。
「怨霊ってそんなに気安い存在だっけ？」
「と言いながら、ウチも怨霊だけど」
隣から茶々を入れたのは紅葉。今日の活躍でも褒めてほしいのだろうか。
まぁ、今回の依頼も無事解決できたのだから、良しとしよう。
本日の営業は終了しました。
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