弐拾漆【過去編･第一次金平糖大戦】 ページ30
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金平糖――
それは砂糖によって作られた地上の星。
それは幸せを運ぶ甘い粒。
これは、そんな金平糖に魅せられた彼らの話。
＊・＊・＊
3年前、住宅街。
その戦いは、唐突に幕を開けた。
この日は快晴。レイヤはツボミと共に近くの駄菓子屋に行った。
その帰り、レイヤは買ったばかりの駄菓子の袋を意気揚々と振り回すように歩いていた。
「人にぶつかっても知らないよ？」
肩をすくめながらツボミに注意されたが、当の本人は全く気にする様子は無い。
「別に良いだろ。人いねぇし」
人気のない住宅街を歩く2人。すぐそこの角を曲がったその瞬間であった。
突然、袋がレイヤの手からすり抜け、駄菓子が道に散乱した。
「ヤベェ」
慌てて袋を回収し、駄菓子を拾うレイヤ。道にある駄菓子を全て拾い終えたが。
「あれ？ 金平糖……」
金平糖だけが見つからない。必死になって路上を探すレイヤに、ツボミは肩をすくめた。
「あんなに振り回すからでしょ。どっかに飛んで行っちゃったんじゃない？」
溜め息交じりの一言で、レイヤは何を思ったか急に立ち上がり、辺りをゆっくりと見渡した。
そして、金平糖の袋を見つけた。
「そこにいたか」
塀の上。レイヤはそこにある袋に手を伸ばした。掴んだ、と思った時であった。
突然、金平糖の袋が動き、レイヤの手をすり抜けた。再び手を伸ばすが、また避ける。
それを数回続けた後、袋が走り出した。転がる、とかではなく、本当に走っているかのように塀の上を移動しだしたのだ。
「待て、俺の金平糖!!」
レイヤは金平糖を追いかけて走り出した。
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