【妖怪学園Y】持つ者、持たざる者・序 (ページ24)

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弐拾壱【少々時間が掛かります】ページ24

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　作業室にて。レイヤはフブキのジェットブーツを台に置き、眼鏡を外した。

「眼鏡は要らないの？」
「邪魔だからな」

　フブキはレイヤの作業動作がいちいち気になるようで、しきりに質問を浴びせていた。

「視力が悪いわけじゃないのね」
「あぁ」

　一方のレイヤのほうは、客相手だからか、あからさまに嫌そうな顔は見せないが、逐一説明する気は無いようで、最低限とすら言えない短い返事をするだけだった。

「保護眼鏡は付けるのね」
「当たり前だ」

　フブキとレイヤの問答は、作業が始まってからもしばらく続いた。

　作業を始め、レイヤが必要な物を用意する時だった。

「ヤミィ、D-15」

　レイヤがそう言うと、ヤミィが指定された棚から器用に道具を取り出す。その光景が物珍しかったようで。

「その子にも手伝わせてるの？」
「あぁ」

　その受け答えを最後に、フブキは口を噤んだ。レイヤもそれ以降は黙々と作業をする、はずであった。

　静かに扉を開け、ツボミがペットボトルを持って部屋に入ってきたのだ。

「ハイ。作業の調子は？」

　ペットボトルを作業の邪魔にならぬ場所に置き、ツボミは訊ねた。

「今始めたばっかだ。ただ、こりゃ思ったより酷いな」

　酷い、と聞き、フブキは首を傾げた。

「どこがいけなかったかしら？」
「今のところ想定内だが、ちょいと問題があった」

　レイヤは顔も上げずにそう言い放った。