弐拾【あやしや、只今開店中。】 ページ23
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夕方。レイヤとツボミは、あやしやの店内で今日のことを思い出していた。
「全く、とんだ1日だったな」
「本当。こんなに疲れたのって初めてじゃない？」
レイヤは、朝保健室を追い出された時に、今日は今までで最もつまらない日になるだろうと思っていた。だが、実際は、今までで最も刺激的な1日になったのであった。
「まさかこんなに早くアイツと戦う羽目になるとは」
「アイツって、メドゥーサ？」
「あぁ」
ツボミの質問に、レイヤは素っ気なく答えた。
「もう少し早くに準備が済んでれば……」
「良いじゃん、倒せたし」
ツボミはそう言ったが、レイヤはどうしても納得できなかった。表情が強ばる。
その時、ドアに付けていたベルがコロコロと鳴った。
「いらっしゃいませ、あやしやへようこそ」
反射的に接客スマイルを作るレイヤ。とても先程まで怖い顔をしていたとは思えない。
「あら、昼間と違って丁寧なのね」
「姫川か。今は一応開店中だからな。何かあったか？」
相手がフブキと分かった瞬間にレイヤは砕けたいつもの調子に戻った。フブキは特に気にせず話す。
「まぁ、色々とね。とりあえず、私のジェットブーツ、もう1回見てくれる？」
にっこりと笑ってジェットブーツを脱ぎだすフブキ。レイヤは確認を入れた。
「今回は金取るからな？」
「元々そのつもりだから安心して」
「なら遠慮無く」
レイヤはフブキからブーツを受け取ると、店の奥の作業室に向かおうとした。フブキはまだ話があるようで、こう続けた。
「作業見てて良いかしら？」
レイヤは下を向いて溜め息を吐き、ぶっきらぼうに言った。
「勝手にしろ」
「それじゃあ、お邪魔しまーす」
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