【妖怪学園Y】持つ者、持たざる者・序 (ページ21)

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拾捌【お手柄だな】ページ21

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　ヤミィは小さな身体を懸命に動かしてマタロウの足元に転がり込んだ。が、勢い余って激突。マタロウにとっては大した衝撃ではなかったが、ヤミィはその場で目を回してしまった。

「え？君、大丈夫？迷子？」

　マタロウは小声で話しかけた。するとヤミィは目を覚まし、突然マタロウの右手に噛み付いた。

「ウワッ！何だよ急に……」

　驚いて腕を振り、ヤミィを振り落としたマタロウだったが、その時、自分が右手にフブキから預かった手鏡を持っていることを思い出した。

「そうか、これなら！」

　メドゥーサは既にゆっくりと石像に近づいていた。

「ほら、目閉じてたら、石になった友達が壊れるのを見れないわよ」

　もはや一刻の猶予も無かった。マタロウは一か八か鏡を振りかざしてメドゥーサの前に躍り出た。

　ちょうどその時であった。

　ジンペイが耐えかねて目を見開き、蛇睨みを受け、石と化す。マタロウはジンペイとまだ睨み続けている蛇の隙間に滑り込む形になり、蛇は鏡に映った蛇、自分自身を睨むことになった。

　次の一瞬で、メドゥーサ全体が石となり、石化していた人たちが元に戻った。

「や、やったー！」

　マタロウが歓喜の叫び声を上げる。レイヤは戦いの終了を悟り、やっと回復した身体を起き上がらせた。

「レイヤ！」

　そう声を上げたのは、先程まで石化していたツボミである。

「良かった。来ないかと思ったけど、来てくれたのね」
「まぁ、成り行きでな」

　レイヤはそう答えてから、戻ってきたヤミィにも言った。

「お前もお手柄だな」

　ヤミィは目を細め、高くキャンと鳴いた。