零【なんでも屋、始めました】 ページ3
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ここはY学園。
時代の変化を作る『勝者』を育てるべくして創設された、超有名名門校である。
その学校に入学を許された稲本レイヤと木蔭ツボミは、そこで何事も無い日常を送っていたのだが。
「退屈だなー」
「退屈だねー」
ピヨピヨと呑気に鳴きながら雲ひとつ無い青空を飛ぶ小鳥。それを見ながら2人は溜め息を吐いた。
勿論、全く何も起きていないわけではない。怨霊も出てくるし、学校行事もあるし、普通の人間だったら満足できる行事はてんこ盛りなはずである。
それでも、この2人にとって、学校生活というものは退屈すぎるものであった。
「いつの間にか武器の種類も増えたしなー」
虫取りに飽きた少年のような目で、レイヤは言った。ツボミは何事も無かったかのように訊ねた。
「いつの間に？」
「授業中で起きてるときに設計図描いてた」
「授業とは一体」
レイヤの肩の上で、黒い狐の怨霊、ヤミィは大きなあくびをした。ツボミの横で漂っている紅葉、倒木の怨霊も、どこから取り出したのか、紐を指に絡めて遊んでいる。
「そうだ、起業しよう」
コンビニ行ってくるとでも言うようなノリで、レイヤは突然言った。
「唐突だね。ってか、何をどうしたらそんな発想に辿り着くの？」
「いや、だって、何でもアリだろ？」
レイヤは、コーラって美味いだろとでも言いそうな声のトーンでさらっと返した。ツボミは、特に不思議がることもせず、淡々と返した。
「それなら、許可が必要ね。店名とか決まってる？」
「店名？ てきとーで良いだろ」
「なら、私が勝手に決めとくね。店長はレイヤで」
今日のおやつでも決めるかのように、ツボミはのんびりと言った。
＊・＊・＊
「許可と建物貰ってきたよ」
しばらくして、ツボミが戻ってきた。ノリはコーラ買ってきた、である。
「ありがとな。で、店名は？」
「『あやしや』で申請してきた」
「マジでてきとーだな」
こうして、なんでも屋『あやしや』は開店を迎えるのであった。
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