拾肆【大した奴だ】 ページ17
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レイヤはジンペイに近づき、何やら禍々しい色の液体の入った試験管を手渡した。
「何だ？ 毒か？」
ジンペイはそう言いながらも試験管を受け取り、蓋代わりのゴム栓を外した。
「コレを飲めば良いんだな」
先程自分で毒かもしれないと言った液体を一気に飲み干すジンペイ。これにはレイヤも呆れるしかない。
「毒だと分かって自分から飲む奴がいるとはな」
「俺はスゲーからな」
「成程。コイツは実験台に持って来いだ」
実験台、と聞いてジンペイは首を傾げたが、直後。
「ウワー！ 熱い！ 痛い！ 何だよ、コレ！」
「だから、毒だ。YSP増幅剤の試作品」
ジンペイはしばらく悶絶していたが、それが済むと、怨霊と戦う前と同じくらいまで回復していた。
「何だ、薬じゃん！」
「そりゃ良かったな」
レイヤはそれ以上は言わず、律儀に待っていたメドゥーサのほうを向いた。
その頃、フブキは自身のジェットブーツと手鏡をマタロウに預けていた。どうやら戦闘で使わないものを押し付けているらしい。
マタロウにとって、荷物を押し付けられることは想定外だったらしく、声は出さないくせに口をパクパクと動かしている。そんなマタロウに、フブキはパシッと言った。
「戦わないなら小さな仕事でサポート頑張って」
マタロウが呆然とする中、フブキ、ジンペイ、そしてレイヤがそれぞれの武器を構えた。ジンペイの場合、再変身だが。
「蛇の目は厄介だけど、何とかなる？」
フブキがジンペイに訊ねた。ジンペイは先程まで抱えていた不安を振り払うように決然と答えた。
「何とかなる、じゃない。何とかするんだ!!」
レイヤは、ジンペイから少なからず元気を分けてもらったように思った。言葉一つで人をここまで変えられるとは、大した奴だ。
拾伍【とっとと奴を片付ける！】→←拾参【ノーベル賞は俺が取る】
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