拾【連絡ぐらい取らせてください】 ページ13
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程なくして、怨霊･オヤノメは、変身したジンペイとメラによって倒された。ツボミの護衛は必要だったのだろうかと思えるほどにあっさりと。
「けっこう簡単な任務だったな」
ジンペイはあっけらかんと言った。それはツボミも同じ気持ちだった。この程度の依頼は『あやしや』では日常茶飯事だ。勿論、事前情報があるので、いつもならもう少し楽であるが。
「じゃ、後片付けは任せといて」
ツボミはそう言って耳の通信機のスイッチを入れた。その時、倒れている怨霊が口を利いた。
「……サ様、申し訳、ございません……」
その言葉は、園等先生に向けられたものだった。
「先生、ソイツ知ってるんですか？」
マタロウが不安げな顔で園等先生を見上げる。園等先生はそんなこともお構い無しに、怨霊に向かって冷たく言い放った。
「思ったより使えなかったわね」
そう言うや否や、園等先生の髪が激しくうねり始めた。
「YSP能力者を一掃するつもりが、こうも早く私が出ることになるなんて。最小の労力で最大の成果をとるために、いろいろ秘密裏に進めてきたのに……」
園等先生のうねる髪の毛は、ついに園等先生を完全に包み込んだ。
「どうやら人間じゃねぇようだな」
メラが言ったとおり、園等先生は頭から無数の蛇をうねらせる怨霊に変化していた。
「怨霊、メドゥーサ！ 気をつけて。奴の――」
サン太夫は何かを叫ぼうとしたが、それよりも早く、メドゥーサが何かの力でサン太夫と隣にいたメラを石にしてしまった。
ツボミは通信機に向かって半狂乱で叫んだ
「レイヤ、緊急事態発生！ 園等先生が怨霊に！」
『五月蝿い！ マイクに向かって叫ぶな！ んなこたとっくに知ってらぁ！』
「いつにも増して口悪いね」
レイヤの口の悪さが、ツボミの多少の冷静さを戻したが。
『怨霊メドゥーサ、奴の――』
「貴女もよ！」
レイヤが何かを伝えようとしたところで、その声はメドゥーサに掻き消された。驚いて声の方向を見ると、目の前には蛇が。
直後、自分が石にされていくのを感じた。ほんの一瞬の出来事だったが、ツボミにはとても長く感じられた。
連絡ぐらい取らせてください、先生――
拾壱【至急応答せよ！】→←玖【何の前触れも無くボス戦なのですが】
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