捌【勇者って一体何ですか?】 ページ11
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YSP一行は、北の塔に向かっていた。
「一体どんな怨霊が取り憑いてるんでしょう?」
思い出したようにサン太夫が訊いた。ツボミは自分の予想を言おうとしたが、それはジンペイに遮られた。
「とりあえずぶっとばして終わりだ!」
「ですね!」
「だな!」
サン太夫とメラもジンペイと同じ考えらしかった。
「YSP能力者って、深く考えないんだな」
「マタロウ君、脳筋男子どもと一緒にしないでくれる?」
*・*・*
北の塔に到着した。やはり、いつ見ても禍々しい。
「RPGみたいだな! オレが姫を助ける勇者だ!」
調子に乗っているジンペイ。一体勇者を何だと思っているのやら、見当も付かない。
塔の扉の鍵を開け、ゆっくりと開く。塔の中はひたすら螺旋階段が上に伸びているだけである。
「これは……各フロアに強敵がいるパターンだな。
全員油断するなよ!」
「はい!」
「うん!」
ジンペイがいつの間にか指揮を取っている。新入生2人は素直に返事をしたが、メラとツボミはどうも面白くない。
「お前もな。偉そうにしやがって」
「言われなくても分かってますよ」
*・*・*
螺旋階段を駆け上がり、彼らは愕然とした。
「あっさり最上階に着いた!!」
10階分ぐらい上ってきたはずなのに、一切ボス的なものと出会わなかった。運が良かったからなのか、それとも――
「失礼しまーす!!」
ツボミの思考は扉が蹴破られる音とジンペイの声で中断させられた。ジンペイたちはずんずんと部屋の奥に入っていく。ツボミは慌てて彼らを追いかけた。
「俺は寺刃 ジンペイ。テメェを助けに来たぜ!」
部屋の真ん中で本を読んでいる少女、エマに向かって、ジンペイは言い放った。当然、エマは困惑している。
「怨霊はどこだ、早く出せ!!」
ジンペイはエマをさらに怒鳴りつけた。エマの困惑は深まるばかりである。
「ごめんなさい、エマさん。私から説明します」
*・*・*
「……ということなんです」
「そういうことですか」
ツボミの話で一応納得してくれたが、エマはまだ話すことがあるようだった。
「私から言わせると、変わってしまったのは父のほうなんです」
エマは学園長がエマのためにしてきたことの数々を話した。
「そういえば、去年やたらと校則増えてたなー」
「挙句の果てに、私をこんな所に閉じ込めて……」
その話を聞き、ツボミたちは全会一致で学園長の親バカだと確信した。
最上階の部屋を出ようとしたその時。
「騙されるな!」
玖【何の前触れも無くボス戦なのですが】→←漆【プライドって存在するのかな?】
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