【妖怪学園Y】持つ者、持たざる者・破

漆拾陸【対策済みか】 ページ30

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　先手を取るのはレイヤ。吸引装置の電源を入れると、並の掃除機とは比べ物にならないくらいの勢いで、空気が装置に吸い込まれる。先の戦いでのフブキの動きを参考にした作戦であったが。

　煙の怨霊は一向に吸い込まれる気配が無い。

「流石に対策済みか」

　舌打ちするレイヤを煙の怨霊は嘲笑う。

「同じ攻撃が2度も通用すると思ったら大間違いだ」

　それならば、と言ってレイヤが取り出したのは何の変哲も無い手榴弾。それをいくつかYサークルの奥のほうへ投げ込むと、外に向かって空気が押し出された。流石の煙の怨霊も、今度は微動だにせずとは行かなかったが、それを逆に攻撃に使った。

　煙の怨霊はレイヤに取り憑こうと全身を数本の糸のようにし、穴という穴から侵入しようと試みたが。

「何っ？」

　気付くと怨霊はレイヤの後ろに出ていた。レイヤに避けられたわけではない。強いて言うとすれば、何もできずにすり抜けたのだ。

「貴様、何をした？」

　怨霊の問い掛けにレイヤは答えない。代わりに冷却スプレーを取り出し、煙の怨霊に浴びせる。それは怨霊自身には効かないが、周囲の空気中の水分を凍らせ、怨霊の動きを制限することはできた。

「貴様……!!」

　煙の怨霊は逆上する。ちょうどその時、爆風の吹き戻しが来た。煙の怨霊はその吹き戻しに乗り、Yサークル最奥部へと飛んだ。思いもよらないタイミングでの吹き戻しにレイヤはバランスを崩したが、体勢を立て直すとすぐに煙の怨霊を追った。

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