【妖怪学園Y】持つ者、持たざる者・破

陸拾弐【凶悪妖怪を倒せるのは】 ページ16

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　ツボミたちと園等先生、そしてバケーラがYサークルへ向かおうとする中、ジンペイだけが縄張りと化したベッドの上を動こうとしなかった。

「行こう、ジンペイ君！」

　マタロウが呼びかけたが、俺は行かないの一点張り。ジンペイの幼馴染のサン太夫いわく、自分の活躍の場が少ないことで拗ねているらしい。

　それを聞いたバケーラは、わざとらしく落ち込んだふりで言った。

「ゴメン。凶悪な輪廻を倒せるのは、この世にはジンペイしかいないんだ。無理は言えないど」

　ジンペイの自尊心を刺激しようとでも思ったのだろうが、そんな子供だましに中学生が引っ掛かるわけない、とツボミが思った時。

「そうか！ 俺しかいねーのか！ なら仕方ねぇ！」

　ジンペイは途端に鼻の下を高くした。まさかこれほどまでにも簡単に乗せられる中学生がいようとは。

「行くぞ、ヤロー共！」

　先陣を切って走り出すジンペイを、残る生徒たちは呆れながらも追いかけるのであった。

＊・＊・＊

　到着までの間に、バケーラは妖魔界と怨霊界の戦争、そして輪廻という妖怪について話した。



　輪廻は自身の魂の複製を作り、その魂を新たな肉体に魂を入れて生き続ける能力を持っていた。その能力によって怨霊界の王を乗っ取った後、王の座を狙いエンマ大王に挑んだ。

　その後能力を奪われ破れた輪廻。永久に牢に入れられたかと思ったが、先に用意していたコピーが怨霊軍を引き連れ、妖魔界を滅ぼした。

　そうして生き長らえた輪廻が、何かを探してYサークルに来るという。



「その乗っ取られた怨霊王の魂はどうなったの？」

　フブキが訊く。

「そこまではオデには分からないけど、おそらく無事ではないど」

　バケーラも、流石に魂の行方までは分からないらしい。そして、輪廻が複製を作っていたという事実は、これから輪廻に立ち向かおうとする少年少女らには、とてつもない脅威として存在していた。

「じゃあ、輪廻は2人いるってこと？」
「しかも、その言いようだと、まだ増やせそうね」

　マタロウとツボミがそう言った直後、空の方から知らない声が響いた。

「いえ、輪廻は私1人ですよ。そのコピーは私を助けた時に、その場で始末しましたから」

　その声の主こそ、輪廻である。

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