【妖怪学園Y】持つ者、持たざる者・破

陸拾壱【観測できれば】 ページ15

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「輪廻か」

　通信機から聞こえる会話に耳を傾けながら、レイヤはまだ店の作業部屋で『黒い怨霊』を探していた。

　輪廻が来ると聞こえたが、そもそもそれが観測できるものかどうかすら分からない。先の怨霊のさらに上に立つ存在となれば、何を見ることも叶わない自分では、足手纏いになるだけであろう。

　せめて観測できれば、干渉のしようもあるのだが、などと考えながら、レイヤはキーボード上で指を躍らせる。しかし、一向にその姿は現れない。

　全く変化の現れないモニターにレイヤが苛立ちを覚えた時、不意に頬を舐められた。ヤミィである。

「どうした？」

　レイヤがそう問うと、ヤミィは視線でメラの方を指した。メラが動く気配は無いが、代わりに先程までは姿を隠していたであろう獅子黒が立っていた。

「獅子黒、何かあったのか？」

　椅子を回して身体を獅子黒の方に向けてから、レイヤはそう訊いた。獅子黒はその問いに答えながらも、質問で返す。

「親分が起きない。何をした？」
「研究用の映像を見せた。そしたら勝手に呻きだした。原因は分からねぇ」

　レイヤにとっては、これだけが事実であった。

「その映像とは？」

　獅子黒に迫られ、レイヤは作業画面を切り替え、Yサークルの映像を再生した。

「もしかしたらYSPと関係があるのかもしれないが、んなこた俺の知ったこっちゃねぇ。獅子黒、お前にはこれはどう見える？」

　そう問われた獅子黒は目を細めて答えた。

「強大な『力』を感じる。親分はそれにあてられたのかもしれん」
「そうか、『力』か」

　有力な情報を得たレイヤは、まだ話し足りなさそうな獅子黒そっちのけで再び作業に戻った。しかし、今度の相手は黒い怨霊ではなく、Yサークルの『力』である。

　その『力』を認識できるようになれば、怨霊やYSPの謎を解明できるかもしれない。そう期待したレイヤであったが、その作業は長くはできなかった。

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