陸拾【輪廻が来る】 ページ14
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その答えは、バケーラの一言で、あっさりと明らかになった。
「それが、それこそが、Yの魂だど」
Yの魂、と聞いて、目を開いたばかりのエマが反応した。何かの衝撃を受けたかのように固まり、再び動きを止める。
「話戻るけど、その戦争、どっちが勝ったの?」
フブキがバケーラに問う。
「それは――」
「ちょっと待て!」
バケーラが答えようとするのを、ジンペイが遮った。
「この話の問題はソコじゃねぇ!! 妖魔界も怨霊界も、輪廻もYの魂も関係ない!!」
突然のジンペイの大声に、フブキ、マタロウ、ツボミが問い返す。
「どうしたの?」
「何が問題なの!?」
「それ以上に何があるの!?」
「馬鹿野郎! 分からねぇのか!?」
ジンペイの怒りが頂点に達したらしく、ひどく興奮した様子で言った。
「俺たちの出番が全くねぇってことだ! バケーラ、ふざけんな! 訳分かんねぇこと長々と!!」
首を絞められるバケーラ。慌てて男子らがジンペイを止めに入るが、それでもなお、ジンペイは出番が欲しいと叫び続けている。
そんなやりとりをものともせず(実際見えていないのだが)、学園長はひたすら愛娘の心配をしていた。
ジンペイを引き剥がしてほっと一息吐いたバケーラが、突然切羽詰ったように叫んだ。
「アイツが来るど! 輪廻が来る!」
その叫びは、保険室内の空気を震撼させた。
「奴の目的はおそらくYサークル! みんな、急いで、Yサークルに!」
バケーラいわく、そこに輪廻の探しているものがあるらしい。
「それに、あそこが、アレこそが、お前たちYの魂を継ぐ者の希望なんだ!」
バケーラは今までに無いほど真剣な顔で言った。それに心打たれたマタロウが続く。
「よく分かんないけど、Yサークルに戻ろう!」
「マタロウ! オデの気持ち、分かっでくれるのか」
感極まって涙を流すバケーラ。
「Yの魂を継ぐ者でもないのに、ありがどう!」
次の瞬間、マタロウは顎が外れそうなほどのショックを受けていたが、それはエマの行動でその場のほとんどの者の頭からすり抜けた。
ベッドから降りようとしたエマだったが、どういう訳か知らないが、すぐに全身から力が抜け、隣に立っていた園等先生に抱きかかえられた。
園等先生はエマを再びベッドの上に戻すと、学園長に向かって言った。
「学園長はエマさんの傍に。説明は後ほどいたします」
保健室の主たる園等先生の剣幕に圧され、学園長は了承の返事をするほか無かった。
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そら*フィア(プロフ) - ダイヤモンドさん» ではこちらから向かわせていただきます! (2020年6月7日 13時) (レス) id: 8aa2e0c93a (このIDを非表示/違反報告)
ダイヤモンド(プロフ) - そら*フィアさん» 面白かったですか!!良かったです!ボードでお話全然大丈夫ですよ!どっちのボードでしますか? (2020年6月7日 13時) (レス) id: 5f9687d2d6 (このIDを非表示/違反報告)
そら*フィア(プロフ) - ダイヤモンドさん» とんでもない!面白かったですよ! お友達大歓迎です!ぜひよろしくお願いします。(あまり浮上できないかもしれませんが、)ボードでお話しませんか? (2020年6月7日 12時) (レス) id: 8aa2e0c93a (このIDを非表示/違反報告)
ダイヤモンド(プロフ) - そら*フィアさん» 私の作品も見に行ってくれるんですか!?(あんまり面白くないかもです…)ありがとうございます!!あの…良ければお友達ってなれますかね…? (2020年6月7日 11時) (レス) id: 5f9687d2d6 (このIDを非表示/違反報告)
そら*フィア(プロフ) - ダイヤモンドさん» ありがとうございます!とても励みになります。今度ダイヤモンドさんの作品も見に行きますね! (2020年6月7日 11時) (レス) id: 8aa2e0c93a (このIDを非表示/違反報告)
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